第14話 集合
「やっと見つけたぜ師匠。」
「おや、見付かってしまった。」
わざとらしくおどけてみせる麗華に散々探し回って時間を無駄にした事に青筋を浮かべるミヤビ。
「冗談じゃ。済まんのう。」
ミヤビのイライラとした雰囲気とギロリと睨んだ眼の迫力に圧されて麗華はすぐに謝った。
「それはさておきお主の格好はやはりそっちなのか?」
女性用の装備を身に付けているミヤビを呆れた顔をして見る麗華。ミヤビも既に機嫌は直っている。
「どうよ?似合っているだろ?」
「まあのう……胸はないが。」
「男に女みたいな胸あったら気持ち悪いだろ。」
麗華の返答に機嫌を良くしたミヤビは笑って会話を続ける。
「材料はもう買ったんだろ?戻って修業か?」
「そんなに目を輝かせてももう薬湯しかないぞ。」
「そんな事言わないでなんかあるだろう?」
「無いもんは無い!」
「あれ?ミヤビさん?」
「ん?その声はスイか?」
麗華と歩きながら話していたから知り合いに出会したようだ。
「はい。覚えていてくれたのですね。」
「流石に一日ぶりで忘れる訳ないだろ。リアルでも10時(22時)過ぎたくらいだぞ。」
「ミヤビ姐さん!アタシも居ますよ!」
「おう、カリンも覚えているぜ。だが、姐さんって何だ?」
「助けて貰った時の姿が格好良かったです!」
「ああ……」
年上に姐さんと呼ばれて苦笑を浮かべるしかないミヤビは直ぐに話を逸らす。
「それでどうしてここに居るんだ?」
大体14時頃、天気が悪い訳でもないのでクエスト日よりだと言うのに何故街にまだ居るのか疑問に思ったミヤビである。
「一狩りして今は赤桃山に行く為の物資の調達をしてる所です。」
「この辺の魔物じゃ物足りなくなったのか?」
「そうです。レベルも5になったので丁度良いかと思いまして。」
「野営か、オレが言えた義理じゃないが準備はしっかりした方が良いぞ。」
噂便りに大した準備も無しで夕方に山に向かって行ったミヤビである。麗華の弟子になったから良いもののそうでなかったら山の中で野営を強いられたはずである。
「そうですか。」
「はいはい!ミヤビ姐さんはこの後はどんな予定ですか!?」
ミヤビの助言にスイが頷くとカリンが空かさず手を上げて質問する。
「オレも多分山に行く予定だが………」
そして後ろを振り向くと少し機嫌悪く麗華が上目遣いで睨んでいる。
(子供じゃないんだから。)
と思っていると、
「ミヤビや、その女子共は何じゃ?」
((のじゃキャラ!?))
スイとカリンが同時に思った。
「何じゃって見ての通り知り合いだが?」
「お主の恋むぐっ!」
「ちょっと悪い。」
麗華が余計な事を言う前に口を塞いで二人から少し離れて聞こえないようにこそこそと話始める。
「あの二人は性別を勘違いしてるんだ。それはない。」
「お主がそんな格好しておるからだろ。」
「まぁな。それは良いんだがこの後はどうするんだ?」
「材料は買ったし山に戻るぞ。」
「なら!?」
「少し遅くなってしまうが良かろう。だが、その後はどうするんじゃ?」
「出来れば泊まらせてやってくれないか?弟子はオレしか居ないし部屋は余っているだろ?」
「弟子でもない者を泊めるのか?それにあの二人は道士ではないのじゃろう。」
「難なら宿泊費に食事代、風呂代を出させても良いから。」
「それは良い。それなら許可しようぞ。」
金の話になったら麗華があっさり許可し、意地の悪い笑みを浮かべる。
「金を落とす人数は多い方が良いよな?」
「勿論じゃ。」
「なら、追加で二人心当たりがあるから呼んでみるわ。お手柔らかに頼むよ。」
「分かっておるわ。それよりお主はあの女子共のどっちがタイプなのじゃ?」
「そう言うの正直分かんないんだよな。カリンは真っ直ぐな性格の明るく素直な人だと思うし、スイは表情はあまり変わらないが身持ちが堅いし、計算高い所もあるだろうが見た感じだがそれも自分の容姿を自覚しているからこそ身を守る為に身に付けた事だろうしひねくれた性格ではない人で二人とも魅力的な女性だと思ってるぞ。タイプに外れてないしな。」
「…そうか。」
ちょっとしょんぼりしているように返事をする麗華を見てミヤビが口を開く。
「師匠は素直じゃないが態度が分かりやすくて可愛いと思うぞ。」
「そ、そうか!?」
誉めてるつもりはないのに機嫌を直した麗華に相槌を打ってルイとクラウスに説明と北門で待ち合わせの旨をフレンドチャットで送る。
「待たせて悪いな。」
スイとカリンの所に戻ってミヤビは直ぐに詫びる。
「いえ大丈夫ですがそちらは?」
「ああ、紹介がまだだったな。こっちがオレの師匠の麗華だ。で向こうが低い方がスイ、高い方がカリンだ。」
「「よろしくお願いします麗華さん。」」
「うむ、よろしくじゃ。」
胸を張って上から目線で言う。
「それでミヤビさんの師匠って事は……」
「まぁそうだ。赤桃山の仙女だな。」
「そうすると山に戻るってことですね。」
「ああ。だからオレ達と一緒に来るか?」
「良いのですか?」
「師匠と相談したからな。次いでに泊まる場所と食事、風呂も有料だが提供してくれるとさ。」
「それはありがとうございます。それならこちらの準備も最低限で済みますので助かります。」
「ありがとうございます!ミヤビ姐さん!」
「それは良いがこの後二人追加でここを出るつもりだ。オレの知り合いだから仲良くしてやってくれ。」
「知り合いですか?」
「知り合いと言うか妹と親友だな。」
「分かりました。」
「はい!」
「それと金はしっかりと貯めときな。どれくらい掛かるか分からんからな。」
「「はい。」」
少し準備に時間を使ってから街を出る前にパーティ申請を出す。二人とも承諾し四人で北門で待つこと数分、エルフのルイとそれに追従する小さい魔物、人間のクラウスが北門の街の外からやって来た。
「何で門の外から?」
「俺もルイちゃんもお前に会いに赤桃山に行こうと思ってたんだよ。お前が山に籠りっきりだって聞いたからな。まだ出たばかりで良かったよ。」
「それは悪かったが引き返せる距離で良かったわ。それにルイの従魔も生まれたようだな。」
「はい、二日前の朝に生まれたベビーグリフォンのルナです。なかなか可愛くて強い子ですから戦力的にも問題ないと思います。」
「ほう、それは楽しみだな。」
ルイが連れてるベビーグリフォン、ルナはつぶらな瞳を向けて首を傾げている。ミヤビは屈んで頭を撫でてみると嬉しそうに目を瞑る。ルイが鼻を押さえているがミヤビは無視して撫でる。
「初奴だ。ルイを頼むぞ。それじゃあ紹介する。」
ルナを撫でるのを止め、ルイとクラウスにスイとカリン、麗華を紹介する。その間、三人はずっとルイを見ていた。
「でこっちがオレの妹のルイと親友のクラウスだ。クラウスはβ上がりだから知らないことがあったら聞くと良い。」
β上がりの部分でスイとカリンが少しクラウスに反応したが直ぐにルイに視線が移る。
「いや、種族が違うのに兄妹と言うのは守人は変わってるの。それに種族と胸を除けばほとんどそっくりではないかの?」
性別もだが。とは小さく呟いた麗華にスイとカリンも頷くが、
「私達は双子ですから似てるのですよ。アバターも髪の色以外はリアルモジュールなので見て分かる通り二卵性ではありますが。」
にっこりスマイルでルイが答える。一卵性双生児なら身体的な成長も似通うものである。そしてルイの体型がリアルモジュールと分かるとカリンが思わず呟いてしまった。
「………完璧な巨乳エルフ。」
「「ごほっ!」」
吹き出したのはミヤビとクラウスである。ミヤビは笑いを堪えた為、クラウスは赤らめた頬を隠す為に顔を伏せた。
「痛っ。」
そして隣のスイに頭を叩かれたカリン。
「すみません、男性が居るところでカリンが失礼な事を言って。」
「いえ、男性の視線には慣れてますから。それにクラウス君は比較的紳士な方ですよ。」
「そのようですね。私の方をあまり見ないようにしている様ですし。」
ルイ以上の大きさを誇るスイの胸は異性の視線を奪う凶器であるが、クラウスは最初に一度チラッと見ただけでそれ以降は顔を見るように努めているのが分かった。
「雑談は追々にしてそろそろ向かうぞ。師匠がむくれてきてるからな。」
「誰がむくれておるか!?退屈だっただけじゃ。」
「冗談だ。ルイ、クラウス、パーティ申請は出したから。」
「分かりました。」
「ああ。」
ルイとクラウスは直ぐに承認した。
「アンバランスだが当分は問題ないだろう。」
そしてミヤビ一行は赤桃山目指して揚々と歩き出した。
名前─ミヤビ・スメラギ
性別─男
職業─道士LV4(↑UP)
種族─狼人
LV 7(↑UP)
HP 146/146(↑12)(↑17)
MP 116/116(↑10)(↑15)
筋力 80(↑4) (↑6)
体力 38(↑2)(↑2)(↑4)
知力 60(↑4) (↑6)
精神力 42(↑3) (↑5)
敏捷 60(↑4)(↑1)(↑5)
器用さ 45(↑2)(↑2)(↑4)
スキル
方術LV5(↑UP)
錬金術LV3(↑2UP)
格闘術LV5(↑UP)
斧術LV4
鑑定LV3
夜目LV3(↑UP)
危機感知LV3
制空権LV3
魔力制御LV4(↑UP)
気配感知LV2(↑UP)
EXエクストラスキル
消費魔力軽減LV1
アウルレザースカーフ(頭)防御力+2
アウルレザーチュニック(上)防御力+10
アウルスティールガントレット(腕)防御力+15 攻撃力+18
アウルレザーパンツ(下)防御力+6 速力+3
アウルレザーベルト(腰)防御力+4
アウルレザーブーツ(足)防御力+10 攻撃力+10
アウルシリーズ装備 防御力+8攻撃力+8