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仮面β  作者: 霧咲 ユウ
3/8

謎の仮面。

□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








「今からテストを返却する。」


…先生が名前を呼び始めた。








「和馬、…どだった?」


トラが近寄って来た。


「…普通だ。」


…前回と変わらん結果だったので、そう答えた。


「今回の数学、難しかったね〜。」


…雫も寄って来た。


「…そうだな。」


「……そうだな……って……100点?」


…雫が偶然見えた点数に思わずツッコむ。


「…やっぱり100点取っちゃうの⁈」


トラもツッコむ。




「……………………。」




…何か視線を感じる。




「…ん?」


「どした?」


トラが尋ねた。


「いや、何でもない。」


…気のせいか。


「それよかメシ食ったら体育館行こうぜ♪」


「了解。」
















「「「きゃ〜〜〜〜♪和馬く〜〜〜〜ん☆☆☆」」」


…女子達の黄色い声援。




「和馬、コッチだ‼︎」


「おう。」


「見とけよオレ様のミラクルシュート‼︎」


俺がトラにパスしたボールが決まった。




「和馬く〜ん☆☆☆ナイスパス♪♪♪」


「ステキ〜☆☆☆」




「シュート決めたのオレなのに…。」


「トラ、ナイスb」


トラの肩を叩いて親指を立てる。


「オマエに言われても嬉しくネェ‼︎」


…はいはい、女子にキャーキャー言われたいんざんすね。




♪ピーンポーンパーンポーン


『2年A組 折原くん、至急剣道場に来なさい。』


「…呼び出し?」


「みたいっすね。」


…ちょっくら行って来ます。
















…あ…俺、一応剣道部なんだわ。


…殆どサボってるんだけどね。
















「面‼︎…胴‼︎」


…剣道場は昼休みにも関わらず、練習熱心な事です。


…そーっと扉を開ける。




「折原来たか。」


「うっ…はい。」


…一瞬で先生に見つかった。




「全員手を止めて集合‼︎…これより、地区予選のメンバーを発表する。まずは男子から。先鋒……」




…次々に名前が呼ばれる。




「…大将…折原。続いて女子先鋒…」


「…先生、異議ありです。」


…1人、手を挙げる人物がいた。




「…社、どうした?」


…ああやっぱりこの人か。


「折原さんは真面目に部活に取り組んでいません。よって、チームには不適切だと思います。」


…確かに。


「…だがな社…折原の実力は確かだぞ。奴がいないと戦力に欠けるのも事実だ。」


…贔屓。




…討論の末、俺が団体戦の大将に決まった。




「…何故こんな人が…………。」


…その声は小さかったが、俺には聞こえた。




…社が俺の事、嫌いな理由…何となくわかる。








…俺も自分の事が嫌いだ。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□


「それじゃあ、また明日♪」


「おう。」


「雫ちゃ〜ん☆またね〜☆」


…駅の改札で雫と、別れた。




…俺とトラは反対のホームに向かう。




「…で、剣道場でヤな事あったの?」


電車を待ってる間、トラが切り出した。


「…いや、別に…。」


「…あったんだな。」




…俺、あんまり顔に出さないタイプだと思うんだけど。




「…まっ、ザックリ言うと…優遇されて反感買ってる。」


…ホントにザックリ。


「妬まれてるって訳だ。」


「そんな感じ。」




…電車が来たので乗り込んだ。




…向かいのホームから雫が手を振っていた。


トラは嬉しそうに両手を振る。


…電車が動き出す。




「雫ちゃん、可愛いなぁ〜☆」


トラがデレデレしている。


「そうですなぁ。」


適当に返す。








…でもホントは、10年弱ぶりに雫と再会して…見違えた…って思ったんだ。








「それじゃ。」


「じゃあな〜!」


…電車を降りて、トラと別れた。


そして駐輪場で自分の原付に乗った。








…人通りの少ない路地裏を通る。


…此処は相変わらず猫が多い。








…誰かが捨てたのか。


…それが繁殖したのか。








…ゴミ箱などが、頻繁にひっくり返される。








…あまりいい気分じゃない。








…俺はいつものように路地を曲がった。








…その時……突然猫が…‼


「うわっ‼‼」








「…ってぇ…………」




…猫を避けた俺は転倒した。




…肘と膝を擦り剥いた。




「…何見てんだよ。」




…猫が俺を睨み付ける。




…俺はゆっくり起き上がった。








…何て最悪な日なんだろう。








…さて…


…本来なら…


…起き上がった俺は、まっすぐ家に帰るんだろうけど…








…何故か…








…足が止まった。








…猫が乗って倒れたゴミ箱から…








…出て来た。








…仮面…。







「…何だろう?」








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□








…あの時の俺の行動は、自分でもよく解らない。








…何故、これを拾ってしまったのか…。








「…ただいま。」


…って誰もいないけど。








…俺は、まっすぐ風呂場に行き、さっき拾ったソレを洗った。








…綺麗になった。








「…これでよし。」


…俺はソレを自分の部屋の壁に飾った。




…おおっ、こっち見てる。




…ちょっと怖い雰囲気だけど、気に入った。




…あれ?


…この仮面…


…以前何処かで見たかなぁ?
















…仮面と言えば…


…3年前に話題になったペルソナ事件。




…女性5人が殺害され、男女2人が殺されかけた、あの事件…。




…その時、仮面の男が目撃され、当初ソイツが容疑者だったんだけど…


…確か犯人は違う男だったんだっけ。




…あの時、報道された仮面に何処となく似てる……。




…いや、そんな訳ないか。








…別の仮面の事件…


…ペルソナ事件の犯人逮捕から1週間後…




…大きな車に乗った男が猛スピードで歩道に突っ込み、通行人を次々と跳ねた。


…やがて車は電柱にぶつかり停止。


…そこから血塗れの男がフラフラと出て来て…


…逮捕された。




…男は仮面を持っていた。








…そっちの仮面は今日見つけたコレとは違う。


…あの黒い仮面だけは忘れられない。








…あの事件で母さんは亡くなった。




…母さん…。




…この広い家に俺は独り。




…しばらく写真を眺めた後、俺はソレを引き出しに閉った。




…ゴトッ…




「……⁉︎」




…引き出しを閉めた瞬間、後ろで音がした。


振り返ると壁の仮面が落ちていた。




…ちょっとびっくりした。








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□




…俺は仮面を拾った。








アナタハイツデモ ブキミニワラウネ








…仮面を見てると、昨日聴いたその曲を思い出した。








…確かJesterってタイトル。








…Jesterとは…


中世ヨーロッパの宮廷道化師。


日本ではピエロと呼ばれる。








…俺は仮面を付けた。


…そして、鏡の前に。


「…へぇー、結構イイじゃん♪」


…少し調子に乗って、歌ってみる。


「♪アナタハイツデモ ブキミニワラ……ん?」


…声が違う。




…途中から俺の声じゃなくなった。




…昨日のラジオの声。








…これってまさか…








「♪メリーはただの羊飼い…あっ‼︎」


…Jackの歌を歌ってみた。


…そしたら声が…


…顔が…








「…ヤバイ‼︎」


…この仮面を付けて誰かを想像すると、その人の姿になれる‼︎


…顔や、声、背格好まで。








「…それじゃあ…トラになあれ!……っおおっ‼︎」








「…今度は…雫になあれ!……やっぱ可愛いな。」








…しばらく、思い付く色んな人になってみた。








…そして、俺はふと思った。


…誰にでもなれるのかな?








…俺は鏡の前に立った。


「…母さん…………会いたいよ。」








□■□■□■□■□□■□■□■□■□□■□■□■□■□

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