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百合厨男子にご用心

何かに一生懸命な主人公を書こうと思ってこの小説を書き始めたわけですが……どうしてこうなった……


百合……それは女の子同士の友愛、恋愛を指す言葉だ。

そして僕は百合が大好きだ!……何よりも大好きだ!

勿論、こんな事を公に言ったりはしない僕が変人や変態扱いされ女の子が僕から離れていくかも知れないからだ。

そんな事になれば百合を拝む事が出来ない。

欲望に忠実に生きるのは好きだが流石にそこは自重している。


だが今日、面白い噂を聞いた。

なんでも一年生に女子としか会話しない女の子が居るらしいではないか。

性の低年齢化等と言われてるこの時代にそんな女子が居るわけないでは無い。

つまりその女の子は……百合ということだ!


そうだろう!

未経験女子というものが都市伝説と化しているこの世の中で男に興味が無いということはもう百合で間違いないはずだ!

ただ単に男嫌いという線も考えられるが……だが元女子高に入り三、二年生が全員女という状態で同級生が彼女と青春している間百合を見るために頑張ってきたんだ。

なのに百合といった百合を見ずに約一年の月日が経った もう諦めかけていたその矢先にだ!

こんなデカイ釣り糸を垂らされたらもう食いつくしかないじゃないか!

自重だと?そんなもの犬にでも食わせとけ僕は我が道を逝く!


勢い良く立ち上がった僕にクラスメイトの視線が注がれる。

「どうした?」

「いえ、何でもないです」

流石に授業中に行くのはやめよう……うん。



昼を知らせるチャイムがなる

待ちに待った昼休みだ この時間を使い一年の教室へ向おう

「よっす」

席を立とうとすると聞き慣れた声がした

「さっきは授業中に急に席を立ってどうしたんや?」

目の前に現れたのは僕の少ない友人の一人 神埼 侑斗(かんざき ゆうと)

エセ臭い関西弁に長身の優男で女子の情報なら何時でも聞きに来いと豪語している

侑斗にも少し用があったのでちょうどよかった


「なあ侑斗 一年生の四条 霧(しじょう きり)って子知ってるか?」

例の女の子の事を侑斗に聞く

「ああ、知ってるでどうしたんや 気になるんか?」

「うん まあね」

多分、侑斗の言ってる気になると僕の言ってる気になるは違うのだろうが別にいいだろう

「四条霧 容姿は美少女だが男と全く喋らず女子と喋っている場合が多いようやな 部活はやってないらしい 今の所集まってる情報はこれぐらいや、あんまり参考にならなくてすまん」


噂通りだった

更に美少女らしい……これは最高だ!

口元が自然と緩んでしまう

「気持ち悪いな そんなに好きなんかあの子の事?」

「大好きだ 僕の希望になるかも知れないんだから……」

興奮を抑えきれない 四条さんの所に行きもし、女の子が好きだとしたら僕はそのサポートをして百合を拝む完璧じゃないか……

「頑張りや なんかごっつ気持ち悪い妄想してるみたいやけど犯罪に手を染めたりしたらアカンで」

人聞きの悪い 僕は女の子同士の純愛や友愛が見たいだけなのに……

「分かってるってじゃあ取り敢えず行ってくる」

「今から行くんか!?」

何やら驚いた顔をしているが百合の為だ それぐらい当たり前だろう



近くを通った一年生を捕まえ四条さんについて聞いてみる

「四条霧さんって何処に居るかわかる?」

初々しい一年生の女の子だ 

学年ごとにネクタイの色が違うので直ぐに分かる

「四条さんならクラスに居ると思いますが……」

少女は何故かビクビクしながら応える

「ありがとう じゃあ向かってみるね」

少女にそう返すと僕はクラスの方へ歩き出した


「すいません 四条霧さん居ますか?」


クラスへ行きその名前を呼ぶと数人の女子がこっちを睨みつけてきた

一体何なんだ……

「あの私が四条ですが」

一人の少女が出てくる

黒髪で肩までかかった髪 美人というより可愛いといった部類の整った顔

確かに美少女だな これなら侑斗のやつが言うのも納得する

身長は150ぐらいか?

「私も話があります」

目の前の少女は何やら真剣な顔つきでそう言ってきた


ま、まさか百合には百合好きが分かるというがまさか僕が無性の百合好きだと分かったのか……

いいだろう こっちも手間が省けたようだ

「僕も話がある ここじゃ話しづらい場所を変えようか」

「はい」


少女はクラスメイトに何かをいい、そそくさと僕の前を歩き出した

何やら覚悟が感じられる凛とした歩き方をしているがやはり大好きな百合という性癖を語り合う仲間が出来て少し緊張しているのだろうか


「この辺りだったら誰にも聞かれないでしょう」

校舎裏の狭い倉庫の中、確かにここだと誰かに聞かれる可能性はないだろう

さて語りますか まずどういうことから語り合おうか

現実の百合にあったのは二回目(・・・)だ まだ時間はあるゆっくり語り合おうではないか

だが少女の口から出た言葉は予想を斜め上に言ったものだった


「もう私に付きまとわないで下さい!」

そう目の前の少女は僕に言った


まさかこの子は僕の考えまで読んで昼休みまで君の事を考えてたのがバレたのか……

百合……なんて恐ろしい力だ

「違うんだ!僕はただ単に君と話がしたいだけなんだ!」

「なら盗聴器を仕掛けたのも話がしたかっただけの理由なんですか!」

少女は泣きながら睨みつけてくる

だが僕には少女の言った言葉が全く理解出来なかった

盗聴器ってなんだよ

あれもしかして僕、ストーカーか何かと間違えられているんじゃ……

だから僕がクラスに行った時何故か凄く睨まれてたのか



「なるほどね」

「何を言って……」

急に笑いだした僕に少女は怯えたような目でこっちを見ている

「君は完全に誤解をしている!」

人差し指を少女に向けドヤ顔をする

「まず僕はストーカーではない人違いだ!それでいて……」


僕は両手を広げ高らかに言い放つ


「君の同志だ!」


僕が言い放った声は校舎に木霊し目の前にいる少女は呆気にとられたような目をしてこちらを見ていた

余程、同志がいた事に驚いているのだろう

ああ、語り合うのが楽しみだ





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