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第7話 女の子なの。

 

 俺の手料理を絶賛した港家の2人はその後、ジュースとお菓子で夜遅くまで話すことになった。

 その結果………


「ふにゃぁ~むにゃ…」


 ソファの上で、ネコのように小さく丸まりながら寝ている美也が1匹。

 ふりふりのスカートを履いているため、クマのパンツが丸見えになっている。


「ごめんなさいね、この子色気なくて」


 俺の残念な視線を感じ取ったのか、美和子さんが申し訳なさそうな顔をしながら謝る。

 なんか凄く恥ずかしい…。


「もし、この子が亜矢ちゃんのような感じなら慧ちゃんも良かったのにね」

「いや、まぁそれは今朝も思いましたけど、亜矢は亜矢で嫌ですね…」

「どうして?」

「ん~なんかわざとっぽくないですか?あいつがやると」

「…たしかに。慧ちゃん相手ならやりかねないわね。モテル男はつらいわね~」

「亜矢は違いますけどね」


 美也と俺は…そう、兄妹みたいなモノだ。

 亜矢と俺は~…悪友というか、なんだろう?恋愛対象としては見れないな。

 そもそも亜矢は………。


「ふわぁぁぁぁ~……といれ…」


 眠たそうな目をしながら上半身を起こした美也がこちらを見る。

 その姿は俺も美和子さんも大きなため息を吐かせる。


「行ってこいよ」

「ふぁ~ぃ……」

「おい、漏らすなよ?」


 あまりにもノロノロと動いているため、漏らすんじゃないか?と心配になってしまう。

 フローリングが汚くなってしまう…。


「慧ちゃん…さすがにそれは美也が可哀そうよ…」

「へ?」

「あの子、一応女の子なんだからそんなこと言っちゃだめよ」


 俺達の目の前をノロノロと歩いていき、リビングを出て、トイレのドアを閉まる音がする。

 確かに今のは無いな…。


 しばらく、美和子さんと会話していると俺達の前に美也が帰ってくる。

 目はもうつぶっているんじゃないか?と思う感じに薄めに開けている状態。

 口はぽかーんとだらしなく開き、よだれが垂れそうになっている。


「この姿を見て、女と認めろと?」

「…訂正するわ」

「ありがとうございます。それじゃそろそろ時間も遅いので帰りますか?」

「そうね。美也、帰るわよ」

「ふぇ?ここでねるの?」

「違う、家に帰るのよ!」

「わかったぁ~…おやすみなさぃぃ…」


 トテトテとさっきまで寝ていたソファの所までいき、ボスっと倒れ込む。

 そして、すぐに寝息を立て始めた。

 あーなったらもう起きることはないだろう。

 俺と美和子さんが呆れながら美也の方を見ていると玄関の開く音がする。


「あら、美和子来てるの?」

「お邪魔してるわよ~」

「あらあら、美也ちゃんはそこで寝てるのね。まぁいっか。慧、あんたの部屋から布団持ってきてあげなさい」

「沙世、大丈夫よ。持って帰るから」

「別に良いわよ。それに美和子も明日休みでしょ?」

「ええ。そうだけど?」

「私も明日は休みなのよ。朝まで飲み明かしましょ」

「研究はいいの?」

「いいわよ、院生を残してきたわ」

「そう。それじゃ飲みましょうか」

「慧、美也ちゃんは私の部屋にお願いね」

「はいはい。あんまり騒がないでよ」

「分かってるわよ。それじゃお酒買いに行こっか」

「ごめんね、慧ちゃん」

「いえ、馴れてますから。それじゃ楽しんでくださいね」


 ソファに寝ている美也を持ちあげて、2階にある母さんの部屋へと運ぶ。

 美也は低身長なため、お米の袋より少し重いぐらいだ。

 そんな子を持ちあげるなど造作もない。

 腕の中でグースカ寝ている美也を起こさないように、母さんのベッドに寝かす。

 そして、ムワッとしている部屋の空気を入れ替えるように窓を開け、風を通すようにする。


 この時間帯はエアコンが必要ないけど、美也は暑がりだから扇風機で空気が効率よく流れるようにしておく。


「よし、おわり」


 暑さとベッドが合わないのかモゾモゾと寝返りを打っている美也が動かなくなるのを確認して、部屋のドアを締める。

 母さんたちはもう家を出て、お酒を買いに行っている時期だろうから、今のうちにお風呂に入っておこうと思い、風呂場へと向かい、一日の疲れを流した。


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