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プロローグ

 その世界に足を踏み入れてはならないよ。その世界の空気を吸ってはいけないよ。

 その世界の虜になってはいけないよ。その世界に首を突っ込んではいけないよ。


 その本を開いてはいけないよ。その本を見てはいけないよ。

 その本に触れてはいけないよ。その本を読んではいけないよ。


 もし、開いてしまったら。もし、読んでしまったら。

 あなたはその瞬間から旅人となってしまう。


―――本の旅人。


 

 何処かの町の何処かの図書館。奥、難しい本ばかりであまり人も歩いてこないスペース。そこの職員もこのスペースの放つ陰気な雰囲気を嫌って寄り付かない。

『バサッ』

 本が落下する。だが気付く人も居ない、仮に気付いたとしてもあまり気にはとめないだろう。

 本の表紙には「通り道」と黒字で書いてある。それ以外は何の装飾も無い、白地の殺風景な表紙。

『パラッ・・・パララッ』

 何の反動もなしに本のページがめくられる。ページの一つ一つにはこの世に存在しないような生き物の絵が描いてある。それは時々動いているようにも見える。

『パラッ・・・ピシィッ』

 あるページで突然止まる。そのページには表紙と同じく、「通り道」の黒字の字しかなかった。

 だが、そのページだけが異様な紫の光を発している。

『時期は来た』

 突然、本からかすかにしか聞き取れないような声が響く。と同時に開いたページ一面が何かの紋章に埋めつくされていく。

 そして今度は表紙が動き、そのままパタン、と閉じた。

『ガサッ』

 表紙には「通り道」の字以外に「旅人」の文字が刻まれていた。

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