砂漠の城の美女
皆さんは、男女の友情を信じますか?俺は信じません。何故なら、女友達から恋愛に発展する展開、最高だからです。
「砂漠あちー……。日本みたいに湿気はないけどフライパンの上にいるみてえ……。」
「紫外線対策をしてないからそうなるんですよ。」
「ちゃっかり日傘持ってきてんじゃねえよ。」
「美容部員にとって肌は命なので。」
あ、皆さんこんにちは。はじめましての人ははじめまして。
え、挨拶が古い?すみません、俺ニヤニヤ動画世代なので。どうも、勇者タケシです。
ある日目が覚めると異世界転生して勇者になってました。
チートしてモテモテハーレム人生が始まるかと思いきや、結局現実世界に戻って転職活動中。
おまけになんやかんやで縁ができた魔物が居候中。
今はクソ王にのせられて美人魔物討伐に向かってます。
「つ、ついた……。」
「この城に魔物が居座ってるみたいですね。」
「こんな砂漠のど真ん中の城に魔物なんか……。」
ガシャーン!
「何よこの化粧品!肌が粉吹いちゃったじゃない!もうあんたんとこ使わないから!」
「……いるみたいですね。」
「……行くか。」
クソ王曰く美人らしいけど、性格きつそー。ああ、また俺の異世界ハーレムライフが遠のく……。
「失礼しまーす……。」
そろりと扉を開ける。
「ふん、次のエントリーはあんた?」
「エントリー?なんのことですか?」
おお、赤肌エルフ耳美女。目付きがキリッとしてて、なんだかバー〇ー人形みたいだ。西洋美人でナイスバディ。
あ、脚組んでるからパンツ見えそう。
「今私専属のメイクアップアーティストを探してるの。人を集めるために手っ取り早く城を乗っ取ったってわけ。」
「わざわざ騒動を起こして人を呼ぶとは、随分乱暴ですね。」
「ふん、なんとでも言いなさい。それで、あんたは私にメイクしてくれるの?」
あ、脚を組み直した。マジで見えそう。
「動くなおっさん!」
「うわっ!?」
前のめりになったら魔物娘にムチを打たれそうになった。な、なんだあれ、革のベルトみてえな。
当たったら地味にいてえやつじゃん。
「メイクのメの字もなさそうなおっさんは引っ込んでてくれる?あんた帰っていいから。」
「な、なんだと!?俺は勇者だ!お前を倒しに来たんだぞ。」
「下着をのぞき見しようとした男が言ってもね。」
「お前どっちの味方だよ!」
「ん……?よく見たらあんた……。」
「は?」
「あんたじゃないわよ!そこよ!そこの美形!」
「ナチュラルに失礼。」
「私が何か?」
「殺す!」
魔物娘はナイトに飛びかかる。
「あ、やめた方が……。」
「きゃあああ!」
ナイトの茨が魔物娘を跳ね除ける。あーあ、間に合わなかったか。
「顔は外しました。見ず知らずの相手に殺すだなんて下品ですよ。」
なんだこいつ、勇者の俺より目立ちやがって。
「ちょ、調子乗ってんじゃないわよ……。」
「調子に乗ってるのはどちらですか?力の差は分かったでしょう。さっさとここから立ち去りなさい。」
「ふふふ、あんたたち、まだ私を舐めてるわね……。」
「な、なんだ?」
「スリープシャドウ!」
魔王娘の目が紅くギラッと光る。闇が俺を襲った。