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俺クエスト 所持金100Gをなくして0Gになった俺が魔王を倒す   作者: 早乙女
第1話 チートもハーレムもない異世界転生ってアリ?
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新しい仲間

スライム生きてるー!!てか増えてね!?2匹いるんだけど!?


「どういうことだよ!!」


「スライムは攻撃を受けると分裂するんですよ。」


「どういう理屈だよ!」


「あなたは何故、この世界でスライムが魔物の大部分を占めるのか、ご存知ないのですか?

やられても死なない、むしろ増え続ける生命力ゆえですよ」


「Gかよ。」


「プル。」「プル。」


「あーもうややこしい!おいナイト!ペン持ってねえか!?」


「はあ?ありますけど。」


ナイトから借りたペンでスライムの体にキュキュっと文字を書く。


「よし、今日からお前がAで、お前がBだ。」


「プル!」「プル!」


「いや、何を喜んでるんですか。

あなたたちがもらったのは名前じゃなくて、記号ですよ。

さっきまでいい話だったのに愛のない。」


その夜、魔王城攻略前夜として、近くで暖をとった。





「……で?なんでお前いんの?」


「いいではないですか。

あなたとしても内情を知ってる私がいた方が助かるでしょう?」


「それは、そうだけど……。」


スライム達はすでに焚き火の近くで寝静まっていた。


「……あなた、何者ですか?」


「は?」


「聞いたことがあります。

世界が混沌で包まれた時、異世界より勇者が現れると。」


「あー、じゃあそれじゃね?

ここに来る前は別の世界にいたし。」


「ふっ、伝説は本当でしたか。

しかし予想と違ってあなたは随分頼りないですね。」


「うるせえ!俺に負けたやつが何言ってんだ!」


口が減らねえやつ。だけど、何故か憎めない。

なんだかんだ話しやすいしな。顔が美形なのは、ムカつくけど。


「……あなたは、元の世界でどんな暮らしをしてたのですか?」


「はあ?」


「ふっ、あなたはさぞ寂しい生活を送っていそうですね。」


「……そうだよ。」


「……。」


「アラサーなのに彼女もいない。

社畜だったから毎日終電まで働かされてさ。

給料は少ないのに、抜け出せなかった。

怖かったんだ。上司が。辞めたあとの生活が。


だから、勇者になったって分かった時は嬉しかった。

俺は負け組じゃない。勝ち組として転生できたんだって。」


「……そうですか。」


「まあ、蓋を開けてみれば非モテは変わらねえし、周りにいるのは、スライムといけすかねえ美形。ただ勇者になっただけじゃ何も変わらねえな。ははは。」


「……勇者ですよ。あなたは間違いなく。」


「はあ?」


「なんでもありませんよ。」


「お前はなんで魔王軍に入ったんだよ。」


「え?」


「そりゃ聞くだろ。俺にばっか話させるな。」


「……別に面白くありませんよ?」


「俺の話だって面白くねえよ。不公平だろ。」


「……昔は、あそこのスライムのような、平和な魔物に囲まれて暮らしていました。


幸せだった。

しかし、ある日この茨の能力を授かりました。

昔はコントロールが全くできなくて暴走した。

仲間の魔物を何人も手にかけてしまった。


だから決めたんです。

魔王軍に入って自分を鍛えようと。」


「……そっか。」


「ふふ、つまらないでしょう。」


「そんなことねえよ。」


「……そうですか。」


「そうだよ。」


「……ふふ、そろそろ寝なさい。魔王様攻略は打ち合わせ通りに行きます。」


「……ああ。」


もう魔王城か。なんだか信じられないな。

夜空に瞬く星々を見ながら、俺はその夜寝つけなかった。


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