表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/37

VSルーク

あくる日。

ルークは息を整え、スコープを通して世界を削ぎ落とす。位置よし。装填よし。

眼下の一点に、目標がいる。勇者は一人──都合がいい。


「……万が一にも、ナイトに当てるわけにはいかねえ」


トリガーに力を込める。引き金の感触が手に馴染む。

弾は吐き出された。風を切る音がスコープの中でささやき、地面に小さな土煙が上がる。だが──当たらない。


「何だ、今のは……」


スコープの視界で、タケシの軌道が途中で途切れる。しかし狙いは明白なはずだ。弾が弾かれているように見えた。

ビショップの報告はこうだった。


「勇者は少し力があるだけの無能。」


ならば説明がつかない。ルークの胸に、じわりと不快が広がった。


「ルーク!」


「おお、ナイト。お前ならここが分かると思ってたぜ。」


「この辺りで高い建物はこの砦だけですからね。」


ナイトとルークの会話は、不自然なほど自然だった。まるで昨日の続きを話すように。


「相変わらず聡明なやつだ。

なあ、ナイト。戻ってこい。クイーンが新しい魔王軍を立ち上げたんだ。クイーンが密かに魔導石のレプリカを作っていたんだ。俺たち4人分だ。

お前の頭脳、ビショップの防御、俺の攻撃、クイーンのカリスマがあれば、また俺たちの時代を作れる。楽しかったあの頃に帰ろうぜ。」


「……生憎私は楽しくありませんでした。ビショップの執拗ないびり、クイーンの見下してくるような視線、無神経なあなた。」


「それでも俺は楽しかった!」


「あなただけです。都合のいい仲間が欲しいなら一人でやればいい。」


「お前たちだけだ!殺ししかできねえ俺を受け入れてくれたのは!魔王は所詮俺の戦力をかっただけだ!

お前たちは違う!1つしか無い酒を4人で奪い合った!1つしか無い酒を分け合った!一緒に笑いあった!あんなに楽しかったのは初めてだった!俺にはお前たちだけなんだ!」


刹那、ナイトの後ろから赤い瞳がカッと光る。


「あ……?」


ルークの視界は歪み、世界は反時計回りに回る。


『ルーク!それは私のお菓子よ!』


『ちょっとぐらい、いいじゃねえか。いてっ。』


『没収します。油断も隙もない。』


『あっ、ずりい!俺にもよこせ!』


『自分で買ってくればいいでしょう!卑しい!』


『ん?ナイト、それクイーンの菓子じゃねえか?』


『賞味期限が短く書かれたシールに張り替えたものです。おかげでありがたくいただけましたよ。』


『ははは!お前頭いいなあ!』


「クイーン……ナイト……ビショップ……。」


「うまくいきましたね。」


ルークは仰向けになって恍惚の表情を浮かべている。


「こいつ起こすの?」


「まさか。ルークは狙撃の精度を落とさないために、刺激が極限少ない施設を選びます。鳥のさえずりさえ聞こえないここでは、滅多に目を覚まさないでしょう。」


「……そっか。」


「魔導石のレプリカも倒れた拍子に落ちましたし、回収すればもう要はありません。」


「……ねえ。」


「はい?」


「魔王軍、楽しくなかったの?」


「楽しいわけないでしょう。賞味期限切れの食べ物を平気で押し付ける輩ですよ。」


「……そっか。」


何故自分をルークと接触させたのか、バービーは聞けなかった。ルークが仲間のために口を割らないことぐらいナイトは知っていたはず。しかし、バービーはぼんやりと感じていた。ナイトは自分の孤独とルークの夢を知っていて引き合わせたのかもしれない。全てが終わったら起こしに来よう。バービーは密かに誓った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ