銃の足音
「あの落ちこぼれナイトに捕まるとは、どういうことです!ビショップ!」
「も、申し訳ありません、キング。」
とある暗がりの一室、逃げ延びたビショップは叱責を受けていた。
「そうカリカリすんなよ、クイーン。」
蝋燭の火が揺らめく。緑の軍服を着た男の姿が照らし出される。
「おだまり!私は今キングです!」
「ははは、そりゃすまねえ。次は問題ねえさ。四天王戦闘力最強、このルーク様が出向くんだからな。」
ライフルを構えてキングと呼ばれる者へ銃口を向ける。一発撃つと、蝶を捕食する蜘蛛がぽとりと落ちる。横目で見ていたビショップは、びくりと震えた
「何これ?魔導石?」
タケシは黒く光沢のある石をつまみ、王宮の明かりにかざす。
「それは魔導石のレプリカ。この前捕まえたビショップが持ってたの。」
「これでゴールドドラゴンを倒して、従属させたわけですね。」
「そういうこと。聞きたいこと沢山あったのに、誰かさんたちが逃がしちゃうから。」
王はやれやれとため息をつく。タケシはビクリと身体を震わせる。タケシ達は先日捕らえたビショップの賢者の杖を取り返し、ビショップに返した。結果ビショップが姿を消してしまったのである。
「い、いや、なんのことやら……。」
「無駄ですよ。私が伝えました。」
「なんで言っちゃうのぉぉぉぉ!?!?」
さらっと告げるナイトに対して、タケシは涙目だ。
「ビショップの脱獄はいずれ分かることです。内部で犯人探しが始まる可能性を考えれば、真実を告げる安全でしょう。」
「そ、そう言われてみれば……?」
タケシはどこか腑に落ちていない様子。それはそうだ。結果的にお咎めはないが、自分たちが厳しい罰を受けていたかもしれない。ナイトは本来慎重派なのだが、ビショップを捕らえてからどこか様子がおかしい。しかし、タケシもバービーも待つと決めている。
「それより魔導石のレプリカです。どうしてこんなものがあるかは分かりませんが、作った黒幕がいるはず。」
「察しがいいね。それは今調査中。
それより今は別の敵が接近してる可能性があるの。ビショップは脱獄する時メッセージを残した。ルークに気をつけろって。」
「ルーク!?」
「知り合い?」
タケシはナイトを見やる。
「元四天王ナンバー2、戦闘能力だけなら四天王最強です。」
「そ、それに気をつけろって……。」
タケシはおどおどとナイトの様子を伺う。
「近いうちに狙われるでしょうね。」
「やっぱりぃぃぃぃ!!」
タケシは頭を抱えた。これまでの冒険でフィジカルはともかくメンタルはかなり鍛えられたのだが、それでも小市民気質は変わらないらしい。
「ナイト、あんた元四天王でしょ?知ってること教えなさいよ。」
バービーがすかさず対策を尋ねる。ナイトが冷静を欠いている時は、バービーが冷静でいられなければとっくにこのパーティは半壊している。
「ルークは狙撃の達人です。ルークに狙われて生きて帰った獲物はいない。
加えて敵が魔導石のレプリカを複数所持している可能性を考えれば、ルークがレプリカを所持している可能性もある。
危険度は更に上がるでしょうね。」
「控えめに言って詰んでない?」
「私もタケシもナイトも、遠距離から狙う敵には対応できないわ。」
状況はかなり厳しい様子。今まで敵対してきた敵は全員近距離~中距離型。遠距離型の敵を相手にした時の経験がないのだ。おまけにタケシは近距離、ナイトもバービーも近距離~中距離。相手の土俵に乗せられたら勝てる可能性はかなり低い。
「ビショップが逃げなかったらなあああ!」
「いない人のことを言っても仕方ありません。私たちでなんとかしましょう。」
それでも諦めないのがこの3人。ナイトを中心に作戦会議が始まった。




