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タケシの想い

立て掛けた型落ちi〇adの前で3人で座る。テレビもない、スクリーンもない。3人で見られるような画面サイズではない。でも、仲間と一緒に身を寄せあって同じ趣味を共有するのは、楽しかった。


「子供向けじゃん。」


「子供向けとはなんだ!ある日主人公がネット世界に飛ばされて、その世界の仲間たちと友情を築いて旅をする平成の名作の続編だ!」


「はいはい。」


画面の向こうでは主人公が倒れているライバルに手を伸ばしている。平成アニメのベタな展開だが、俺は大好きだった。

感傷にでも浸っていたのだろうか。らしくないことをぽつりと呟く。


「俺さー。自分を勇者だと思ってたんだ。」


「勇者じゃん。」


「そうじゃなくて、もっとこう、モンスターと戦ったりとか、仲間と戦ったりとか、魔法も使えて剣も使って無双!みたいな。」


「なってるじゃん。」


「え?」


「確かにタケシは強くもないし、かっこよくもないけど。」


「おい。」


「あたしたちと旅して、戦って、人や魔物を助けてるじゃん。」


まあ確かに、王女を助けたり、ビショップを退けたりしてきたが、俺の思い描く勇者像とはなんか違う。


「俺なんてちょっと腕力があるだけじゃん。なんか、しょぼいというか……。」


「しょぼくていいじゃん。タケシは偉そうにしないし、私たちを頼ってくれる。だからついて行こうって思えるの。」


「……そうなん?」


「そうだよ。」


そうなのかなぁ。バービーもナイトも俺がいなくてもやっていける気がする。なんとなくフィーリングが合うとか、そんな理由でついてきてくれるんじゃないのか?


「……この作品の仲間たちは、どうなるんですか?」


ぽつりと、だんまりを決め込んでいたナイトが静かに口を開いた。

その声は、雨音よりも小さく、けれどはっきりと耳に届いた。


「ネット世界の仲間たちはどうなるんですか?消えるんですか?」


「消えねーよ。別の世界で生きてる。それだけだよ。」


「……。」


たとえ人から産み出された存在でも、こいつらはこいつらで心を持って生きている。

ナイトがこんなことを言い出すのは、異世界が何かとか、ナイトやバービーが何者かと関係があるのかもしれない。


……だとしても、俺の考えは変わらない。

ナイトはナイトだし、バービーはバービーだ。


「ねー、王様から何を聞いたかしらないけどさ。私たちはひとりじゃないじゃん。タケシがいる。私もいる。あんたにはモニコもいるじゃん。」


「……。」


「一人で悩むの、辛いよ?」


「……近いうちに言います。必ず。」


「そ。」


俺たちは何も進まなかったのかもしれない。

ナイトは結局何も話さなかったし、ビショップの行方も分からない。

けど――小さな画面を囲んで、同じシーンを見て、同じ時間を過ごしたこと。

これが無駄だなんて、どうしても思えなかった。


to be continued.


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