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杖の本懐

あれから数日後。


「なんだ?これは。マジックフライ?いや……フェイク……。」


「ほんとに杖が喋った……。」


「作戦は上手くいったけど、トイレのシーンはコメントしにくかったわね。」


「賢者の杖。今話せますよね?」


目の前にはひとつのモニター。あの後俺たちは城を出てから宿屋に泊まり込み、ハエと映像と音声を繋いだモニターの監視をしてた。

正直クソ暇だったが、やっと成果が出た。


「つーか武器が喋るって何?」


「神が創ったと言われる伝説の武器は、知能を持つと言われています。」


「私ずっと迷信だと思ってた。」


「迷信ではありません。私は四天王時代も、時折賢者の杖と対話をしていました。」


漫画とかでもたまに喋る武器っているけど、この世界にもあるんだな。


「その声、ナイトか。媒介はこのハエのおもちゃだな?小賢しい真似をして何の用だ。」


「相変わらず偉そうですね。単刀直入に言います。そこから出たくありませんか?」


「ふん。出たところでビショップは捕まっているのだろう。」


「あなたが出てきてくれれば、王とかけ合ってビショップを出してあげます。」


交渉が始まった。俺とバービーは静かに見守る。


「セントラル王国の王にか?無理だ。

あのたぬきには何を言っても通じぬ。

伝説の武器と言われた我でも、所詮はこの世界のシステムの一部なのだ。」


「こちら側には勇者がいると言っても?」


「ああ、あのひ弱な拳士か。あの程度の力で何が出来る?その辺の魔物に食われるのがオチだ。」


なんかひでー言われよう。


「あなたの主人はその拳士に負けたではないですか。」


いや拳士じゃねーから。勇者だから。


「……ふん。減らず口め。」


ナイトが振り向いて手招きする。あ、俺の出番?


「あ、どーも……。」


おずおずとモニター前に座る。


「ふん、あの時の拳士か。あの程度の力でよく生き残れたものだ。」


「まあ、その辺は俺もそう思ってる。」


伝説の武器だけあって、威圧感が半端ない。


「勇者は不思議な力を持つという。

お主をジョーカーとして、ナイトの小僧がセントラル王国の王にかけ合えば、あるいは私はビショップの元に戻れるかも分からんな。だが、お主達はビショップを舐めておる。」


「は、はあ……。」


こいつ、随分ビショップの肩持つな。


「ビショップは愚かだが、その力は我を所持するに相応しい。

魔王や新魔王にそそのかされはしたが、根はそれほど道化ではない。

我は我の意思で持ち主をビショップと定めておるのだ。

小賢しいだけの貴様達はビショップ以上だと証明できるか?」


「……なんていうか、お前、ビショップのことちゃんと認めてるんだな。」


「……ほう?」


「確かに俺たちはあいつのことを軽く見てる。

お前からしたら、そんな奴らに協力する気にならないのは当たり前だと思う。


でもさ、ここはお互いを利用してみないか?俺達はビショップを戦力にできるし、お前もビショップのところに帰れる。悪い話じゃないだろう?」


「ふん。我々が約束を反故にしない保証がどこにある?」


「ビショップは、たぶんそんなやつじゃない。ナイトに借りを作ったままにするのは、あいつのプライドにさわると思う。」


「ふ、ふふふふ……。」


思ったままを言ってみたが、どうだろう。


「お主の立場でなおビショップを買うか。面白い。少しだがお主を気に入ったぞ。」


「そこから出る気になりましたか?」


ナイトが顔を出す。


「うむ。ただし、わしがセントラル王国の警備に見つからぬよう出られるのは地上に出るまでだ。

お主たちはそこで待機しろ。」


「本当に自力で出られるの?」


「ふん。わしを誰だと思っておる。」


杖はうにょりと形状を歪めると、警備兵そっくりに姿を変えた。


「わしはこれから杖を紛失したと騒ぎを起こす。騒ぎに乗じて城を出る。この虫も、もう破壊するぞ。」


「そうしてください。」


「杖の魔力は封じてなかったの?」


「普段は外から術者が封じておる。今はたまたま席を外していただけだ。」


「じゃあ術者がいたらマジックフライは反応しなかったの?」


「そうなる。」


「今回は運が良かっただけ、か。どうしたの?行き当たりばったりでナイトらしくない。」


「話してくれるよ。」


「タケシ?」


「いつか話してくれる。そうだよな?」


「……はい。必ず。」


「ふん、切るぞ。貴様らもせいぜい背中に気をつけろ。」


その言葉を最後に、通信はブツッと切れた。



To be continued。ビショップ、行方不明。



「タケシは?」


「不在です。」


「ビショップが消えたんだけど知ってる?」


「あなた次第ですね。」


「知ってるのね。賢者の杖が消えたことは?」


「さあ?」


「知ってるなら返してくれない?」


「等価交換です。ビショップと杖の場所を教える代わりに私の質問に答えなさい。」


「それほとんど答え言ってるよね。うん。オッケー。クエストクリアね。」


「は?」


「ビショップ奪還はいわば裏クエスト。わしが持ってる大体の情報は開示できるよ。」


「う、裏クエスト!?そんなの聞いたことがありません!!

それに情報開示してあなたになんのメリットがあるんですか!」


「メリットとかじゃなくて、それがわしの役割だから。」


「王……あなたは、一体何者……。」


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