ナイトの違和感
「なー、ほんとにやるわけ?」
「セントラル王国の警備は世界一よ?私たちにどうにか出来るわけないじゃない。」
杖が管理されている地下への階段、ひっそり話しながら降りていく。
「確かにそうです。しかし、それは”外部”から攻めた場合の話。なら杖の方から出てきてもらえばいいのです。」
俺とバービーは顔を見合わせた。
「う、うーっす!」
「おや、タケシ様。こんな所でどうしました。」
くそー!!ナイトのやつー!!俺に三文芝居させやがって!!
「いやー、トイレに行こうとして迷っちゃってさー。」
「トイレはここを真っ直ぐ行って、右に曲がったところにある階段を登ったところにありますよ。」
「あ、あーそう!ありがとう!」
「タケシ様なので不問にしますが、ここは本来立ち入り禁止地帯。
用がなければ勇者様といえど、あまり立ち入らないことをおすすめします。」
「あーうん!分かった!気をつけるよ!いつもお疲れ!」
バンバンと兵士の肩を叩いた後、そそくさと立ち去る。本当にこれで上手くいくのかなあ。
「守備は上手くいきましたか?」
「まあ。警備員にハエみたいな虫つけてきたけど。なんなん?あれ。」
「あれは魔力に反応するマジックフライのレプリカです。
本物のマジックフライには及びませんが、強い魔力に反応して群がる性質があります。」
「そ、それがなんなん……?」
ナイトはやれやれ顔で続ける。
「鈍いですね。セントラル王国の警備はローテーション式。
固定すると見張りはポジションによっては隙を見つけてサボる兵士が出てきますからね。
あの警備員が杖の所在の確認に行けば、レプリカ
は杖にとびつく。」
「なるほど。それでどうするのよ?」
「あのレプリカには知り合いに頼んで、カメラとマイクを仕込んであります。」
「どんな知り合いなのよ。」
なんか、今回はナイトの様子がおかしい。確かにナイトは頭が回るけど、それは目的が明確な時だ。王女を助けるとか、スライムを守りたいみたいな、そういう、優しい理由。でも、今回のお前怖いよ。ずっと怒ってる感じ。
「なんか、お前おかしくないか?
ビショップが仲間になったら、まあ、戦力にはなるだろうけど、本当にそれが理由?
なんか、今回は守備が良すぎるんだよ。王女様を助けた時は、一緒に作戦立てたのにさ。」
「……上手くいけば全部話しますよ。」
「……信じるぞ。」
今はそうする。そう、今は。




