緊迫の交渉
「てめえら!!よくもやりやがったな!こんなことして俺の仲間が黙ってないぞ!」
「ぐるぐる巻きで言われてもなあ。」
俺の名はタケシ。ひょんなことから異世界で勇者やってる。
王女の奪還やらスライムの大量発生やら色々あったが何とかやってた。が、そんな時に立ちはだかった元四天王でナイトの犬猿の仲のビショップ。
ナイトが言うには何故かパワーアップして現れたらしい。
なんとか倒してとっ捕まえて理由を聞こうとした。のだが……。
「悪いようにしないから色々吐いちゃえって。そしたら王に言って牢からは出してもらうようにするから。」
「ふはははは!俺を見くびるなよ!俺は他人は裏切っても、仲間は売らないのだ!」
「意外と義理堅いのね。」
「これでプライドありますからね。」
この調子で、なかなか口を割らない。うーん、小物だと思ってたけど、元四天王なだけあって骨があるな。
「じゃあお前ずっとそこにいるつもり?」
「はははは!お前ら、それで俺を捕まえたつもりか!ステルス!」
瞬間、ビショップの姿が消え、あいつを縛り付けてた縄がぱさりと落ちる。
「な、なんだ?どこいった?」
「ふはははは!!見たか!!姿だけじゃないぞ!!この状態なら物だって透過できるのだ!!
こんな紐も鉄格子も意味な……あ、鼻がムズムズして……クシュン!!クシュン!!」
「あ、出てきた。」
「ナイト、何それ?」
「コショウです。ステルス状態のビショップは、触覚以外の五感は生きてますから。」
弱点がコショウって……。豚に囲まれた時もそうだったけど、なんかしまらないよなあ。こいつ。
「つまりクシャミで意識が削がれて、魔法が維持できなくなったのね。」
「強そうなのに間抜けだよな。」
「ぎゃあああ!!埋まった!!鉄格子に埋まった!!お前ら何とかしろ!!」
檻から出てこようとしたところをコショウにやられたのか、ビショップの体の真ん中が鉄格子貫通した。なんか気持ち悪い。
「さっきの技で抜けられるんじゃね?」
「それを早く言え!!」
「本当にこいつ四天王だったの?」
「恥ずかしながら……。」
俺もバービーと同じこと思った。
「はあ……はあ……ふふふ、お前ら俺を見くびってるだろ……」
「見くびってるって言うか、見たまんまって言うか。」
「てか鉄格子から抜ける時なんで外に出ないのよ。」
「あ……。と、とにかく!勇者!お前なら分かるだろ!どんなに強いやつでも装備がなきゃ意味が無いことを!」
「ん?まあ、確かに……。」
俺は武器持ってないけど、ドラ〇エ勇者も伝説装備がなきゃ魔王に勝てないしな。
「俺が今弱体化してるのは賢者の杖がないからだ!あれさえあればお前らなんてひとひねりだ!」
「ほんとなん?」
「ひとひねりされるかはともかく、攻略は難しいでしょうね。
先程のステルスもコショウぐらいでは、どうにもなりません。」
それでも俺たちに負けたじゃねえか、とは言わなかった。俺は大人だからな。
「でも杖は牢に入れられる時取り上げたから、意味ないわよね、その仮定。」
「ぐぐぐ……。」
バービーの言う通り。残念だがもうこいつは怖くない。
「取り返してあげてもいいですよ。あなたの杖。」
「は?」
「え?」
「マジ?」
ナイトは何を言ってるんだ?
「ただし条件があります。
ビショップ、あなたは基本的に私たちにつくこと、あなたの知ってることは全部話すこと。
仮にも魔王軍ナンバー3だったあなたです。それを破るほど下衆ではないでしょう?」
「な、何を考えてるんだ。お前……。」
「ふふふ、さあ。何でしょうね。」
ビショップが青ざめている。俺も不敵に笑う仲間がなんだか怖かった。




