ビショップの意外な弱点
顔に黒い影を落としたナイトが、ビショップににじり寄る。
「さっきはよくも私の顔に泥をつけてくれましたね。」
口調こそ柔らかいが、泥がついた顔中に浮き出ている青筋はナイトの怒りのほどを物語っている。
「ま、まさか……。」
ナイトはマントから小瓶を取り出し、キュポンッと蓋を開ける。中に入っていた黒い粉をさらさらとビショップに振りかける。
「なんだそれ?」
「ブラックマッシュルームの粉です。この世界における三大珍味ですよ。」
「え、なんで使っちゃうの!?勿体ない!」
「ふふ、まあ見ていなさい。」
「た、頼む、ナイト。今までのことは全部謝る。だから、それだけは……。」
ドドドドド!!
どこからともなく地響きが立つ。
「え、何何!?何が起こってんだ?」
「見て見てタケシ!あれ?」
「ん、なんだ?動物……いや、豚!?」
「ベイビィ・オークだよ!そういえばブラックマッシュルームの香りはベイビィ・オークが大好きなの!」
「はあ!?トリュフ豚みたいなもん!?」
あっという間にビショップはベイビィ・オークに囲まれる。ぶひぶひ、ぶーぶーと顔を寄せられ、匂いを嗅がれ、しまいには泥のついた顔を擦り付けられる。
「ぎゃあああ!!臭い!!汚い!!寄るな!汚らしい!!
こら!!髪を食べるんじゃない!!俺が何時間かけてセットしてると思ってるんだ!
おい!顔に近づくな!ああ、ベタベタする!!あ……や……やめてーー!!」
「な、なんだこいつ。さっきとキャラ違くねえ?」
「こっちが素なんですよ。外面ばかりがいいんです。」
「ふふふ、でもこっちの方が面白いかもー。」
「ええ、そうでしょう?だから、もう少し見ていってから、ね?」
「新魔王よりお前がこえーよ。」
ビショップが気を失うまで、一行は可哀想のような、自業自得のような彼を眺めていた。
to be continued。残る元四天王はあと2人。
「てかタケシって本当に力だけはあるんだねー。ひ弱とはいえ、元四天王を1発ノックアウトなんてびっくりしちゃった。」
「ん?んー、それは俺もそう思う。」
「えー、何それ?」
「なーんか最近力がありあまってるっていうか……。」
「クエスト受けてるうちに鍛えられたんじゃない?」
「そ、そーなのかなー……。」
(タケシの言う通りだ。確かに何かおかしい。)
(タケシの力だけじゃない。動くものしか捕捉できない私のローズハントは、身動き一つしないビショップを攻撃した。私の意思に従って。)
(……セントラル王国の国王に聞きますか。今なら、答えてくれるかもしれない。)




