タケシvsスライム!勝つのはどっち!?
「本当にスライムが大量にいる。」
翌日、私たちは王に指定されたクエスト発生地に立っていた。
「てかほっといてもよくなーい?スライムなんて無害なんだし。」
「いや待て、これはレベル上げのチャンス。このスライム全部ぶっ倒してやるぜ!」
「木の棒で?」
「うらああああ!!」
タケシは果敢に向かっていくが、結果は目に見えている。
ぷにっ、にょるん。
「あ、あれ?増えた……。」
「スライムは攻撃すると増えますよ。忘れたんですか?」
「そうだった!」
「スライムを倒すには、ファイヤーがいいよ。」
バービーがアドバイスするが、残念。タケシにはまるで意味が無い。
「んなもん使えねえよ!」
ぷにっ。ぷにっ。
「あああもう徹底的にやったらああああ!!」
タケシは必死に木の棒を振り回すものの、スライムは増える一方。さて、どこまで増えるやら。
「はあ、はあ……。」
「随分増えましたね。」
「2倍ぐらいにはなったかな?」
「も、もう無理……。」
どさっ。
タケシは体力の限界で倒れてしまった。さて、そろそろ私の出番ですかね。
「もに?」
モニコの元を離れ、スライムの群れに近づき、各々の顔を覗き込むようにしゃがむ。
「……スライム達、元いた場所に戻りなさい。」
「ぷにっ?」
「ここにいると、あなた達はいずれ人間に倒されてしまう。私は、仲間が死ぬところは見たくない。
だからお願いします。ここから逃げてください。」
「ぷにっ。」
「ぷにっ。」
スライム達は私の願いを聞きいれ、森の奥へ帰っていった。
「いいのー?討伐してないけど。」
「罰は受けるつもりです。あの子たちが倒されるよりよっぽどいい。」
「いーね。あんたらしいわ。」
そう。これでいい。あのスライム達が平和に生きられるなら。
「え?クエスト達成でいい?」
「じゃって、スライムはもうあそこにいないんじゃろ?
国民からの苦情もなくなったしの。」
相変わらず適当な王だ。その傲慢さは薬にも毒にもなりうる。
食えない人だ。まるっきり信用しない方が懸命だろう。
「タケシが倍ぐらいに増やしちゃったけどね。」
「おい、言うなよ。
それより王!俺のレベル上がらねえんだけど!王様として勇者が万年レベル1でいいわけ!?」
「え?お前のレベル、1で固定じゃけど。」
「……は!?」
「なんですって?」
「マジ?」
私たちは思わず顔を見合わせた。
「この世界に来て、お前に与えられたレベルは1。次のレベルまでの経験値は∞。」
「なんでそんな仕様になってんだよ!」
「お前、よっぽど弱かったんじゃなー。」
「んだと!?これでも一時期ボクササイズ通ってたんだぞ!」
「それで腕力だけはそれなりなわけですか。」
おかしいと思った。仮にも四天王だった私を倒しておいて、タケシはまるで強くならないんですからね。
「力だけはあるからいいじゃん。」
「良くねー!!どうすんだよ俺の勇者人生!!」
平和なのか、なんなのか。
世界の行く末は、この頼りがいのない勇者にかかっている。
でも、私はタケシを信じてる。この罪深い私を生かした、甘くも優しい勇者を。
to be continued。佐藤タケシ、レベル1継続。
「タケシ、あなた本当にスライムを倒す気があったのですか?」
「は?何の話?」
「とぼけないでください。あなたの腕力なら木の棒なんて装備するより、素手で戦った方がましでしょう。」
「……ははは。いやあ、敵わねえな、ナイトには。
あんな話聞いた後にスライム倒す気になるわけねえだろ。
でも依頼受けちゃったから、戦わねえわけにもいかねえしさー。」
「全く、私が説得してなければどうするつもりだったんですか。」
「そこはナイトかバービーがなんとかしてくれるって信じてた。」
「……ふふふ、あなたって人は。」
こぼれそうになった涙を、ナイトは慌てて袖で拭った――その時。
「もに。」
ナイトの足元に歩み寄るモニコ。
「ん、どうしたんですか?」
「もにー!」
「うわっ!?」
ピカー!
突如モニコはナイトの胸に飛び込み、発光した。
あまりに眩い光にその場にいた全員が目を閉じた。
「……あれ?モニコは?」
モニコの姿がないことに、3人は訝しむ。
「おいナイト、そんなペンダントしてたか?」
タケシがナイトの胸元を指差す。
「えっ?……あっ!」
ナイトが目をやれば、黒い宝石のネックレスがナイトの胸元にかかっていた。
「モニコは守護石となってお前を守ることにしたようじゃな。」
「……ありがとう、モニコ……。」
ナイトは震える声で呟き、堪えきれない涙をひとすじ零す。
???「ふふふ、見つけましたよ。落ちこぼれのナイト。
勇者共々、私が葬ってあげましょう。」




