名前を決めよう!新たな仲間
「クロ。」
「シュヴァルツ。」
「モニコ。」
「なんですか?クロとは。猫じゃあるまいし。」
「そっちこそシュヴァルツってなんだよ。中二病かよ。」
「シュヴァルツはそちらの世界の異国の言葉で、黒という意味ですよ。」
「俺と大差ねえじゃん。」
黒いスライムを連れて城を出た後、私たちは黒スライムの名付けで揉めていた。
タケシに任せるとろくなことにならないのは、先のスライム達の件で分かっている。バービーはまだましなんですが、どうも私の感性とは合わない。
「クロはまだいいけど、シュヴァルツなんて可愛くなーい。
もにもにしてるから、モニコでよくなーい?」
「もにっ!もにっ!」
「ほら!この子もモニコがいいって!」
「な、に……?」
何故ですか!クロはともかく、シュヴァルツの何が悪いのですか!強そうだしかっこいいでしょう!
「こいつがモニコがいいってんならいいじゃん。」
「はあ、仕方ありませんね……。」
「よろしく!モニコ!」
「もにっ!もにっ!」
名前が決まったところで、森にキャンプを張って暖を取る。
『プルー!!』
『あっ……なんで……』
『ぶもー!!』
『違う……違うんです!!』
『ピギャー!!』
『あ、あ、やめてくれ……。』
『プ、ル……。』
『ああああ!!!止まれ私の体ああああ!!!』
「はっ!?はあっ……。はあ……。」
夢か……。あの忌々しい……そして忘れてはいけない……。
「もに?」
ふと横を見ると、モニコがこちらを見上げていた。
「もにもに」
「ふふっ、心配してくれるんですか?優しいですね。」
モニコを見ていると、かつての仲間を思い出す。
「……少し向こうで話しませんか?」
だからでしょうか。
誰にも、タケシにもバービーにも話してない、呪われた過去を明かす気になったのは。
「私はね、昔大勢の仲間を殺しました。」
「もに?」
「言い訳はしません。私は同族殺しです。
私は自分の弱さを正すために、四天王になった。」
「もに。」
「能力もない弱小の魔物だった私は突然ローズハントの力に目覚めました。あれは今でも魔導石の影響だと思ってます。
だからあなたに辛く当たった。許して欲しいとは思いません。」
「もに?」
「ふふっ、ちょっと難しい話でしたね。
でも、結局ローズハントをコントロール出来ないまま、タケシに負けた。笑えない話です。
でも、以前より随分楽になりました。だってね、タケシのそばに居ると……。」
「もに。」
モニコは優しく私の足元に寄りかかってくれる。
「ふふふ、慰めてくれるんですか?ありがとう。
あなたは私が村で一番仲が良かったスライムによく似てる。
あの子も傷つける人間から逃げて村に来た。
一緒に畑を耕して、採れたてのトマトを、唇を真っ赤にして一緒に食べた。
雪が降れば、震える体を寄せあって暖をとった。
宝物みたいな日々だった。
だからこそ、あなたを見ていると……思い出してしまう。いえ、思い出したくなかった。生きるのが苦しくなるから。」
「もに。」
「……そうですよね。私が忘れちゃダメですよね。」
その後は、モニコと身を寄せ合うように眠りについた。
『能力もない魔物に仕事なんかねえよ!』
『酷い目にあったな。ここは人間に追われた魔物の村。私たちはお前を歓迎しよう。』
『ははは!お前の茨なんぞ我に効くか!それよりお前の力、これからは我の為に使え!』
『あなたみたいな雑魚、人間も魔王様もどうでもいいんですよ。』
過去の茨が胸を刺す。でも、きっと大丈夫。タケシなら、人間も魔物も、等しく受け入れてくれる……。
だって、あの人はいつだって笑って『一緒に飯食おうぜ』って笑うんですから。




