不穏な空気?7輪の白菊
「ここがイースト公国か、道にびっしり並ぶ市場に人が沢山。向こうだと東南アジアがこんな感じなのかな。」
「イースト公国は香辛料が有名です。国民や観光客はもちろん、各国の商人が買い付けに来るんです。」
「香水も有名なのよ!うーん、後でたくさん買っちゃう!」
「あの、すみません。」
「ん?」
市場の方から緑のベストを着た青年に声をかけられた。
「もしかして勇者さま御一行ですか?」
「そうですけど。」
「いやあ、まさかこの目で見られるとは!噂は聞いてます。あの魔王を倒したとか。」
「いやあ、それほどでもありますよ。」
「少しは謙遜しなさい。」
「この街には観光に?」
「いえ、王様が姫っ……!!」
急にナイトに背中を思いっきり叩かれた。
「何すんだよ!」
「こちらのセリフです。国民に姫の容態が伝わってない可能性は十分に有り得ます。
むやみな情報開示は避けるべきです。」
「あ、それはそうか。いやあ、王様に呼ばれて。」
「王に!?それでは……姫にも会えるんでしょうね。」
「ま、まあ。」
口をもにょもにょさせてなんとか誤魔化す。
「そんなあなたに、こちらを差し上げます。」
青年が差し出したのは、菊の花束だった。
「え、いいの!?」
「ええ、イースト公国へようこそ。あなたの未来に幸がありますように。」
「えー!綺麗!お兄さん、お花屋さん?」
「はい。皆様を笑顔にできるお花を育ててます。」
「私にもちょーだい!薔薇を1輪!」
「はい。お姉さんは可愛いので綺麗につつみますね。」
「えへへ、ありがとう。」
「どうしたんだよ、ナイト。さっきから黙って。」
「いえ。なんでも。」
ナイトは意味深にイースト公国の曇った空を見上げる。
(7輪の白菊……。妙ですね。)




