いざジュビア王国へ!目指せミスコン制覇!
なんだかんだでジュビア王国まで行って、バービーはミスコンに参加。
バービーは今日までナイトの美容指導をビシバシ受けていた。泣き言ひとつ言わずに。
バービーは、誰のために自分を磨いてたんだろう。自分のため、だといいなあ。
「ねー、ユーくーん、私クレープ食べたーい。」
「ははは、しょうがねえなあ。ミサは。」
街全体が祭りみたいな雰囲気だからリア充もちらほら。なんだ、見せつけてんのか?爆発しろ。
「ねー、ユーくん、私可愛い?」
「ん。世界一可愛いよ。」
「バービーより?」
はあ?バービー?じゃああいつ……いやいや、まだ別人かもしれないだろ。
「可愛いに決まってるだろ。あの赤肌女、気ぐらいばっか高くて何かにつけて私の事好き?って。メンヘラかっての。」
はい確定。勇者タケシ、動きます。
「おいおい兄ちゃん、バービーの元カレ?」
「はあ?何おっさん。」
「た、タケシ?」
事情を知らないナイトはぽかんとしている。
「バービーはずっとお前のことが好きだったんだぞ。それを裏切りやがって。」
「何?お前、バービーの今カレ?なわけねえか。お前見るからにしょぼいし。
お前も男なら分かるだろ?若くて肌が綺麗な女の方がいいに決まってるだろ。こいつ尻のハリもいいし。」
……バービー、ごめんな。俺、こいつ許せねえわ。
「おいおいおっさん、決闘ってマジ?」
「ユーくん、やっちゃえー!」
カップルと一緒にミスコン会場から離れた広場に来る。
ナイトは心配していたが、バービーを優勝させてくれと先に行かせた。
信じてますよ、と言って送り出してくれた。ほんとに、いいやつだよ。
「行くぜ!」
元カレは即座に目の前に来ると俺の腹を殴る。
「うっ!?」
腹を抱えてうずくまった。
「なんだよ、一撃かよ。弱えくせにかっこつけてんなよ、おっさん!」
ドカドカ俺の腹を蹴る元彼。だが俺はズボンのベルトを掴んで離さない。
「キャハハハ!かっこ悪い!ユーくん、倒しちゃってー!」
「待てよ、もう少し遊ばせろよ。」
しめた。あいつらは完全にオレをなめてる。
キュルキュルとかすかに音が聞こえる。よし、もう少しだ。
「うおっ!?」
元カレは綺麗にステーンと後ろに転がる。
「いやー!!ユーくんの馬鹿ー!!」
「は?ミサ!!なんで逃げるんだよ!!戻ってきてくれー!!」
「やだー!!へんたーい!!」
「変態?……は!俺のズボン!」
「へへ、まんまとひっかかりやがった……。」
切れたベルトをぴらぴら見せる。
ここに来る前から分かってた。元カレがしてたベルトはバービーのムチに比べてボロボロで特に金具はとれそうだった。
どうだ?ブリーフ丸出しで負けるなんてカッコわりいだろ。まあ、バービーの苦しみに比べりゃ、俺のしたことなんて……。痛みで俺はそのまま意識を失った。
「……けし。タケシ!」
「は!?」
「気がつきましたか。」
「ああ、俺元カレと……。そうだ!バービーは!?」
「優勝しましたよ。授賞式ももう終わりましたけど。」
「そっか。……はは、良かった。」
バービーはあいつのために出たのかなあ。それとも自分のため?……わかんねえや。俺、あいつの晴れ舞台、見られなかったし。
「全く、無茶するわよね。」
「バービー!?」
特徴的な赤い肌が、ナイトの後ろからにゅっと出てくる。
「あいつは荒くれで有名だったのよ。ボコボコにされて当たり前じゃない。」
「でも、俺許せなかったんだよ……。」
「馬鹿、でも、ありがとう……。」
バービーの目元がきらりと光る。
「泣いてんのか?」
「泣いてないわよ、馬鹿!」
バービーは手で目元を拭った。
「バービー!」
「!ユリアン……。」
声のした方を向くと、ベルトのないズボンを抑えた元カレが寄ってきた。
「バービー!俺が間違ってた。
ミスコンのお前、綺麗だったよ。バービー、またやり直そう。
俺、まだお前のこと好きなんだ。」
どう考えても嘘だけど、信じるも信じないもバービーだしなあ。俺からは何も言えねえや。
「ユリアン……。」
バービーはつかつかと元カレの傍による。
パシッ。
バービーは元カレを平手打ちした。
「あんたって……最低ね。」
「……は?」
「私があなたに尽くすからいいように弄んだんでしょ。知ってた。
けど、知らないふりをした。気づいたら、魔法は解けちゃうんだもの。」
「ば、バービー……?」
「でも、決めた!私が私の王子様になる!だって私が世界で1番可愛いんだもん!」
「な、何言って……。」
「というわけで、最後にご褒美。スリープシャドウ!」
バービーの目は、あの日みたいに紅く光る。
『ユーくん、大好き。』
「ああ、俺も好きだ。」
『私、ユーくんのためにミニスカート履いてきたの。』
「へへ、尻が見えそうじゃねえか。ほら、こっちこいよ」
「な、なんだこいつ、ヘラヘラして気持ち悪い。」
「目の焦点が合ってないぞ。やばいやつじゃ……。」
「今警察呼んだぞ!お巡りさん、こっちだ!」
「ふふん、牢屋でたっぷり反省しなさい。」
「俺の数百倍えげつねえ。」
「彼女は敵に回さない方が賢明でしょう。」
「……で?なんでお前までこっち来てんの。」
「だってー、こっちの方がメイクもスキンケア用品も沢山あるし、私の美を世界に発信できるし!」
「今や新進気鋭のモデルとして活躍中ですからね。私としてはお得意様ができてありがたい限りですが。」
「というわけで、これからよろしくね、タケシ、ナイト。」
皆さんは、男女の友情を信じますか?俺は信じてます。
何故なら、この女は俺を異性として一ミリも見てないから。




