異世界転生でチート無双……のはずが
俺の名前はタケシ。
しがないサラリーマン、のはずだった。
しかし目が覚めたら鎧にマントを着て王様の前にいた。
これは、今流行りの異世界転生!?
現代知識を持った俺が異世界で無双しちゃうか!?
何?負けフラグだって?
ふはははは!言ってろ読者諸君!
俺の輝かしい勇者ライフが今始まるのだよ!
……そう思っていた時期が、俺にもありました。
「勇者よ。魔王を倒してこい。」
いや、雑くねえ?ファミ〇ン時代のRPGかよ。
まあいい、これから俺のウハウハハーレム勇者ライフが始まるぜ。
「これは餞別じゃ。」
きたー!!武器!!金!!
王命なんだから、そこそこいいものもらえるだろ!
……この時は、まだ知らなかったんだ。
この贈り物が意味する、地獄の日々を……。
「……なんですか?これ。」
「木の棒と商品券100G分。」
「いやいやいやいや!
初期のドラ〇エでももっといいのもらえるだろ!!
木の棒って何!?
もうその辺歩けば拾えるじゃん!!
あと商品券って舐めてる!?」
「そうは言ってものう、うちも財政が厳しいから仕方ないのじゃよ。」
「そこは命かけるんだから捻出してくれない!?」
「正直お前みたいなしょぼそうな勇者に割く予算はないんじゃよなあ。
死んだら名誉国民の称号をやるから。」
「死んでるじゃねえか!
やってられるか!勇者なんて!」
「ぶっちゃけた話、勇者ってモテるよ?」
「やります。」
ん?チョロいって?ふっ、希望に満ちていると言いたまえ。
こうして俺はモテ……魔王を倒すべく立ち上がった。
胸を張って城の門を出る。
見てろよ、ここまで読んで「詰んだな」とか笑ってたやつ。
さあ来い!美少女魔法使い!たわわに実った金髪エルフ!