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しあわせの国  作者: 狼眼
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説明しよう!

王国内に2つ目の鐘が鳴り響いた後、ぞろぞろと試験参加者が門前広場に集まってきた。


「ギリギリセーフ!」


2つ目の鐘が鳴ったら、というかなり雑な集合時間の為か、まだゆっくりとこちらに向かってくる人もいる。


「さっきぶり!」

「おう、リン。」


声を掛けられて振り返ると、チュニックにハーフパンツ、身長と同じ長さのスタッフ(杖)、確かに動きやすそうだけど、ぱっと見、魚を捕まえに行く少年の様だ・・・。


「森に入るのにハーフパンツ!」

「動きやすいからいいじゃない!」


「もぅ!」といつものごとく膨れるリン。この顔を見ると、怒ったりしているのがばからしくなって、いつも笑ってしまう。


「おう、アル来たか!どうだ!荷物は最小限!完璧だぜ!」

「完璧だぜ!」


俺は、情報弱者を更に弱者にしてしまったようだ。


「サンタス、すまない、実は・・・。」

「よーし、全員集合!急いで集まれ~!」


「行くぞ!」と、サンタスはギニンを引き連れて集合場所に向かって駆け出した。


「あいつは、ほんっとに人の話聞かないのな!」

「何かあったの?」

「あぁ、どうやら勇者様が今朝出発したようで・・・。」


リンと別れた後の話をしながら、俺たちも集合場所へ歩を速めた。


「それじゃあ、私たちのご飯はどうなるの?」

「軍もそこは織り込み済みだろう。ま、俺は予備の食料を多めに持ってきたけどな。」

「ぅあ~!アル!ありがとう!」


キラキラと期待を込められた眼で見られるもんだから、否とも言えず、笑うしかないよね。


「静粛に!!」


軍の小隊長、確かローエル小隊の隊長、だったはず。


「これから諸君らには、3日間の野外訓練に参加してもらう!まずは6人でチームを作れ!仲間内でも構わん!」


小隊長の発言を聞いた後、リンがなぜか俺の袖口をつかんできた。


「武器は軍より支給される!有難く受け取るがよい!自分用の武器があるものは、その武器を使って構わん!」


サンタスはいかつい鋲のついたこん棒を見せつけてくる。ギニンはナイフを両手に持ち、同じように見せつけてくる。あぁうざい!拾い物の癖に!。

って、お二方もなぜ近寄ってくるの?俺とチームを組むの?


「支給される武器はブロードソードだ!鞘は無い!一応布で巻いてあるが、持ち運びには注意するように!」


小隊長の言葉が終わると同時に、小隊の隊員とおぼしき方々が武器を配って回っている。少し待っていると、俺の所にも武器を持った隊員がやってきたので、ありがたく両手で受け取った。


「武器を受け取ったら装備を忘れるなよ?持っているだけじゃ、邪魔になる!」


ブロードソードに巻き付けてある布を利用し、肩越しに装備する方法、腰に装備する方法を一通り教わった。俺は、歩きやすさを優先して、肩越しに装備する方法を選んだ。「肩に装備する奴は、かがんだ時に後ろの奴の足をぶっ刺さない様に気を付けろ~がはは!」とどこかの隊員が笑いながら説明をしている。


「よし!ついてこい!」


えっ、もう説明終わり?

あっけにとられていると、周りの人も動き出した。

まぁ、試験内容は分かっているし、問題ないんだが、勇者様の説明とかがあっても良かったような気もする。

そう思っていると、各チームに1人、サポート要員が配置された。


「よろしくな!」

「「「よろしくお願いします!」」」


一般的なショートボウを背中に背負った痩せたおっさん、いや、隊員の方が気さくに話しかけてくれた。


「今から最初のハントポイントへ向かう。ポイントにつく前に詳しい説明を任されているから、まぁ、のんびり行こうや。」


森で活動するレンジャーが持つ武器は一般的にショートボウが良いとされている。森の奥、迷いの森と呼ばれる地域に住む森の民はロングボウを使いこなすらしいが、見通しが悪く、障害物も多い場所ではショートボウの方が実用的である。


鼻歌交じりで歩を進めるレンジャーを先頭に、俺たちのチームは森に分け入っていった。

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