ダメダメ王国
国王の執務室にビルットが入ってきた。
俺とビルットは視線を交わすがそれだけだった。
「国王、結果を報告いたします!」
「・・・ん。聞こう。」
「クロウ・イロン王国の件ですが、支援物資の不足により、乾季は越えられそうにないという事で、物資の追加を希望してきております!」
「で?どうする?」
「はっ!我が国の余剰物資を提供すれば、辛うじて乾季は凌げると思われます!」
「・・・そうか・・・。」
デュアル様が椅子に深く腰を掛けながら、うつむき気味な姿勢で考えている。
少し気になった事があるので、俺も話に混ぜてもらおう。
「なぁ、ビルット。クロウ・イロン王国は、乾季さえ超えれば、繁季は潤うのか?」
「・・・いや、そういう知らせは入っていないが・・・。」
だったら、この国の余剰物資を渡しても焼け石に水ではないか・・・。
「いや、そこなのだ。そこが重要であろう。かの国には繁季には収穫が出来る様に、と、再三伝えてあったのだがな・・。」
「今の支援状態だと、リーフ王国が食料、ガンドラ王国が鉱石の提供だけど・・・。デュアル様、やっぱりあの国王では難しいのではないですか?」
「厳しいな・・・。王の指導力も大切だが、あの国は働き手が居ないのだ。今は我々とガンドラで支援をしているから良いものの、支援が終わったら他の国にあっさりと滅ぼされてしまうだろう。何しろ、働き盛りの兵士は、テイケイ帝国に奪われてしまっているのだから・・・。」
「・・・そうでしたね・・・。」
「国王、ここは、クロウ・イロン王国を切り離すというのも一つの手かと・・・。」
確かに、ビルットの意見も一理ある。クロウ・イロン王国の住民を、ガンドラ王国とリーフ王国で吸収し、2国で分割支配してしまうという事だが、正直なところ、それが一番手っ取り早い様に思える。
「ビルット。国とは、そう簡単な物でもないのだ。・・・ないのだが・・・国は人が居なければ成り立たないというのも事実だな。」
良い案が無く、染みわたるような静寂がしばらく続いた。
「はぁ、獣人たちの村みたいに、手作りで行ければ簡単なんですがね・・。」
お手製のカトルフォイル村は、皆が協力し、得意分野を活かしながら形になっていった。
まぁ、超協力な牛人族のナンディンさん達の貢献度が半端ないのだが・・・。あと精霊もね。
「・・・・。」
「・・・・。」
「カトルフォイル・・・・。」
「え?」
「カトルフォイルの獣人を、働き手として、移住させるか・・・。」
「え?やっと定着してきたのにですか?」
「いや、すぐにではない。何しろクロウ・イロン王国は、ここよりも涼しく、獣人たちに向いている。それに・・。」
「それに?」
「山と海が近い。様々な獣人が共存できる立地が揃っているのだ。」
「なるほど・・・。」
でも、やっと特産品が2つ出来そうだったのに・・・。勿体ない気もするな・・・。
「アルバート、一度、獣人たちと話をしてみてはくれないか?」
「デュアル様、獣人たちは、クロウ・イロン王国の国民となるという事ですか?」
「・・・そこは、おいおい考えていこう。」
「分かりました。一度みんなと話してみます。」
「頼む。俺が出張ると、皆が言いなりになるのでな・・・。意見をしっかりと聞いて来てくれ。」
「分かりました。」
クロウ・イロン王国に対する一応の方向性を見いだせたのだが、ビルットはまだ話がある様だった。
「国王、よろしいでしょうか?もう一つ報告があります。」
「なんだ?遠慮するな。」
「はっ、実は・・・メグ・ロア殿との連絡が途絶えました。」




