在るべき場所
俺たちは、サジタリウスから2人の野盗を受け取ると、村に戻った。
「アンクリウスさん。サジタリウスさんは森に残るって言っていましたが、本当に良かったのでしょうか?」
野盗を縛る蔦の一本を握りながら、アンクリウスさんに質問する。同じく蔦の一本を握りながらアンクリウスさんは答えてくれる。
「アルバートさん。今、カトルフォイルの村に一緒にいる獣人たちは、様々な苦境を経て団結し、一緒に住んでいますが、もともとは別々の地域に住んでいたのです。ですが、それも村に住むことが出来る種族のみです。森の中や地中、湖の中など・・・。様々な地域に、まだまだ多くの獣人は隠れ住んでいます。ここは、彼らの意思に任せるのが最適かと思いますよ?」
そうか、まだ・・・。確かにマーメイドやラーミアなどの種族は、カトルフォイルには居ない。人間と同じような環境で過ごすことが出来る種族ばかりが集まっていたのだ。
「でも、猿人であれば、人間と同じように過ごせると思うのですが?」
「彼らは基本的に、樹の上で生活をしています。なので、地面の上に降りる事が少ないんですよ。」
「・・・なるほど・・・。なら、今度、死の森を紹介してみようかな・・・?」
「し、死の森?ダメですよ!猿人を殺すなんて!!」
「いえ!違います!森の民が住むエリアの事を死の森と呼んでいるんです。普段は人間が近寄らず、森の民と槌の民が共存している場所名ですよ。森に囲まれているので、住み心地が良いんじゃないかな?って。」
「・・・なるほど。それは良いかもしれませんね。」
という事だ。今度連れて行ってあげよう。と思う。
「アルバートさん?この2人はどうするんですか?奴隷にでモしますか?」
一番太い蔦を持つナンディンさんが質問してきた。
「奴隷ですか・・・それも面白そうですね・・・。」
「をあえあ!おえあえああええうえ!!」
「?何言ってんですか?よくわかりませんね。アルバートさん。奴隷になるとどうなるんですか?」
「そうですね。まず、私たちには、奴隷を売却した金が入ってきます。で、奴隷となった方々は、魔術で心を縛られて、主人に歯向かう事が出来なくされます。・・あとは、その主人次第ですね。」
「なるほど。なら、モウ、私たちの村で奴隷にしてもいいのでは?」
「わわいえうあえあいわ!」
「もう、うるさいですね。・・・でも、それだと、結局はカトルフォイルの住人の一部になっちゃうでしょ?危なくないですか?」
2人の野党は既に涙目になっている。自分たちがした事と同じことをされる事で、事の重大さが分かったのだろう。
「リア様の魔術だったら出来るかもしれませんが、一応、あの魔術は集団魔術であって、個人で何とか出来る物では無いんですよ。一人で出来てしまったら、奴隷が作り放題じゃないですか・・・・。怖いですよ。」
「確かにそうですね。なら、リーフ王国に連れていくんですか?」
「そうなりますね。魔術学院で処理してもらいましょう。」
「処理・・。」
アンクリウスさんが一言つぶやいて二人を見つめる。
2人の野盗は、ナンディンさんに力で抑え込まれ、俺たちの口撃に晒され、抗う気力を失っているようだ。
少し歩いた所で、カトルフォイル村に到着した。
ミミやインクリウスさんが、埋めてしまえとか、焼いてしまえといった過激な発言をしていたが、今後のためを思ってリーフ王国に送る事にした。
しかし・・・。こんな奴らの為に、リンクルの魔術を披露する事は出来ない。
誰かが連れて行かないといけないな・・・・。




