蜂はどこに?
見渡す限りの平野に、青い花が咲き誇っている。
つい先日までは短い草が生えるだけの草原であったのだが、ミリアム主導の下、農地として開墾されたのだった。
更に、ブルーロータスの実を発芽させている間にも、暇を持て余したミリアムやカンディンさん達が、農地の開墾を続けていった。
お陰で、カトルフォイルの村よりも大きな、広大なエリアがブルーロータスの農地となった訳だが・・・。
「すっごい綺麗な花ね~。」
「青い絨毯のようだね~。」
チュロとコロネがブルーロータスの前で青い花を眺めている。
そして、その横にはミリアムが、ブルーロータスの実を蒸し焼きにした物をいくつか皿にのせて持ってきている。
「ほら、チュロちゃん?綺麗だけど、とっても美味しいのよ?」
「わぁ!良いにおいがする!」
「ぼくも!ぼくもちょうだい!!」
「はいはい、沢山あるから急がないの!」
獣人の子供を見ながら、嬉しそうにおやつを提供している。
傍から見れば、餌付けをしている様にも見えなくはない。
「あらあらあら・・・。これはすごいわね・・・。ロータス?」
「あ!リア様!戻られたのですね?」
「?それはロータスの実?かしら?」
「そうですよ。食べてみます?」
「私、これ、好物なのよね・・。あら!おいしい!」
「まだまだありますから、お好きなだけどうぞ!」
ミリアムが、ため池の近くにある小屋へリア様を誘導する。更に残ったブルーロータスの実は、チュロとミラの為に残しておく。
「へぇ、養蜂も視野に入れているのね・・・。良いじゃない。」
「ありがとうございます。でも、蜂がまだ見当たらなくて・・・。」
「そんな、蜂だって万能じゃないのよ?すぐには餌場を見つけられないわ。・・・この乾いた風に乗って、花の香りが届ば、そのうち蜂もやって来るだろう。・・・心配はいらんさ。」
「蜂蜜が取れたら、蜜菓子を作りましょうね。」
リア様の言葉に応える様に、シホさんが蜜菓子の提案をしてきた。
「蜜菓子・・・。ハンナ様が喜ぶぞ?この村のためにも、ハンナ様のためにも、この花をこの地に定着させるのだな。・・・実を、食い尽くさないようにな。」
「それはもちろんです!今の花から実が取れたら、すぐに次の実を植えられるように準備されています。アルバートがあちら側の倉庫で、ロータスの実を乾燥させていますので・・・。」
「ま、詳しい事は知らないけど・・。がんばりなさい?今回のご褒美を、あげなくちゃね?」
「ご!ご褒美ですか?!いや、そんな、私はあんまり何もしていない気もないのですが・・・。頂けるのであれば!!!」
「じゃ、こっちにいらっしゃい・・・。」
小屋から出てきたリア様とミリアムが、俺の方へやってきた。
「何してんの?」
「見てわかるだろ?ドライアードと協力をして、次の収穫に備えているんだ。・・・リア様?どうかなさいましたか?」
ミリアムの後ろからこちらを覗き込んでいるリア様がちょっと怖かった。
「・・何も?ちょっと今回は、ハンナ様・・・いえ、リーフ王国の利益につながりそうだったから、褒美でもあげなきゃ、ってね?」
ミリアムはウキウキで、ご褒美とやらを想像しているようだ。
甘いな、ミリアム・・・。これでもロア師匠の妹君だぞ?そう簡単にご褒美など・・・。
「さ、ミリアム、アルバート。そこに立ちなさい!いつもより内容が濃い修行に付き合ってあげるわ!」
「・・・・はい。」
「!ご・・・ほう・・・びぃ~~!!」
その日の修行は、ブルーロータスに影響が出ないように、ガンドラ山脈側の草原で行われた・・・。
日が落ちるまで・・・。




