叡智の結晶
「よし、完璧!」
足の骨が折れていた時も、継続して精霊に魔力を提供していたこともあり、ウンディーネがしっかりと働いてくれていた。
ため池に流れ込む水量も僅かではあるが、ため池があふれる事の無い水量が随時補充されている。
また、ミリアムたちが第二のため池を作り始めた事もあり、乾季だというのに辺りは水で満ち溢れている。
「ミリアム!そんなにため池を増やしてどうするんだ?」
「んふふふ・・・。この叡智の結晶たるミリアム様を崇めなさい?これはため池ではないのよ!」
「・・・水浴び場?」
「そんな事で誇らないわよ!農業よ!農業!!」
「こんな水だらけの場所で農業って・・。こんなに広い場所でシュロレイン芋でも作るって言うのか?・・悪くは無いと思うが・・・。」
「違うわよ!あなたの二番煎じで知識が誇れると思うの?甘いわね!ここにはブルーロータスの花を植えるのよ!!」
「はな?花なんて植えて、養蜂でも始めるのか?」
「それもあるわ。でもね・・・そのブルーロータスは、気温の変化に強くて、そこから取れる実は食べられるの!・・・ホクホクして美味しいのよ?」
「・・・ほぉ・・・。養蜂と食用の実、ね。」
ミリアムがあまり豊かではない旨を反り返らせて威張っている。
まぁ、そのブルーロータスという植物を見た事は無いので、威張らせてやろうか。
「で、その手に持っているのがその花の実なのか?」
「そうよ?普段は、川の流れによって上流から流され、水の勢いが弱まる所で群生するの。でもね、こんなため池や沼が有ったら、確実に育つわ!!」
「そうか・・・。で、どれくらいで収穫できるんだ?」
「・・・え?」
「だから、どれくらいで花が咲いて、実がなって、食べる事が出来るんだ?」
「・・・そ、そうね・・・。ちょっと待っていて?」
ミリアムは俺に背を向けると、あっという間に治療院に入っていった。
シホさんから知識でも得ようというのだろうか?
暫くすると、再び胸を張りながらミリアムが戻ってきた。
「収穫祭の頃よ!早いでしょ?」
「うん、中々良さそうだな・・・。で、この数粒の実で、どれだけの花が咲いて、実を付けるんだ?」
「えっとね・・・・。」
ミリアムは、後ろ手に隠し持った木の板をチラ見しながら答えてくる。
「んとね、確か・・・・そう!1つの実からは1つの花が咲くの。で・・でね?・・・一つの花からは・・・6つの実が取れるのよ!!」
「・・・という事は、今年は食べられないって事だな?」
「なんで?実がなれば食べられるじゃない・・。」
「・・・お前な・・・その実が仮に、全て花を咲かせて、実をつけたとしよう。すると、実はいくつ出来ると思う?」
「?何言ってんの?そんなの・・・・・・えっと。・・・32個くらい?」
「・・・大体36個な?で、その36個を食べるのか?たった36個を・・・。」
「・・・全然足りないわね・・・。」
ミリアムがチラチラと小屋の方を見ている。
すると、小屋の扉が開いて、中からアンナさんが出てきた。
「ミリアムちゃん?もうちょっと上手くやろうね?」
「・・・はい・・・。」
「アルバート君。こういう事よ。これをね?・・・・」
アンナさん曰く、この実を基に、ドライアードに依頼して、すぐに開花させてもらう。その実を再び植えて、更に花を咲かせてもらう・・・・。あまりやりすぎると、5回目辺りから身を付けなくなる花も出てくるらしいので、今年は5回まで実をつけさせて収穫を行うという事だ。
1本の花から6個の実が取れる・・・。1回目で6本になって・・・。5回繰り返すと・・・・。
沢山だ!!
つまり、俺とアンナさんが頑張るって事だな。
仕方がない・・・。




