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しあわせの国  作者: 狼眼


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様々な思惑

王宮の一室、大きな椅子に一人の男性が座っている。

白地のゆったりとした服には、金の糸で煌びやかな刺繍が施されている。

つい今しがた豪華な朝食をつまみ、ワインでのどを潤したところであった。


「・・・ではバンゴ、此度の襲撃による被害は、如何なものであった?」

「はっ、すべてはグリフ王の思召すままに御座います。」

「そうか・・・。」


バンゴと呼ばれた男は、この国の宰相であり、グリフ王の忠実な右腕である。

今回の魔獣襲撃についての詳細をグリフ王に報告を行っていた所だ。


「此度も様々な者が、要らぬ情報を耳にした事であろう。明日にでもその者たちの調査を行い、大聖堂に連れてまいれ!」

「恐れながら、大聖堂は魔獣どもに汚されてしまいました。申し訳ございません。」

「・・・ならば、謁見の間に集めよ。」

「仰せのままに。」

「迅速、確実に、な。」

「はっ!影を使用します。」

「無駄遣いはするなよ?」

「はっ!」


会話を終えるとバンゴは近衛兵隊長の部屋へ向かった。


「エリック!エリックは居るか!」

「エリック隊長は現在、魔獣討伐の後始末に出向いておられます!」

「・・・それもそうか・・・。」


当てが外れたバンゴは、その足でビー中隊長の部屋を目指す。

正直なところ、バンゴは陰湿な感じの魔術兵団を毛嫌いしているので、直接話したいとは思っていない。エリックを介して指示を出そうと思っていたのだが・・・。

渋りながら魔術兵団隊長であるメイズの部屋の前にたどり着いた。


「オホン!メイズ中隊長!メイズ中隊長はおるか!」

「・・・・・。」


何かが動く音が部屋の中で聞こえたので、ドアに耳を近づけて中の様子を伺おうとした所で、勢いよくドアが開いた。


ゴス!


「・・・っつ!急に開けるな!馬鹿者!!」

「普通に開けたであろう。なんで当たる位置にいるのだ?」

「貴様が返事をせんからだ!」

「我の勝手であろう。ぶつかりに来たのは其方だ。」


なんでも自分を正当化しようとする小賢しい態度が気に食わん!何を考えているか分からん顔しやがって!!


「で、我に何の用だ?無いのであれば去れ、我は読書に忙しいのだ。」

「ぁまて!」


言葉を終える前に扉を閉めようとするメイズを、力づくで制して話を続ける。


「今回、大事の後だ。影を使う。不要な情報を得た者や不敬を企てる者、国王に仇なす輩を攫え。」

「また、面倒な事を。魔術の効果については、王は承知されておるのか?」

「もちろんだ。」

「承知した。我の配下に努めさせよう。で、期日を申せ。」

「明日、一日で実施だ。」

「王は魔術を何だと思っているのだ。不可能だ!」

「頼む!街の半分、被害の多い地域だけでよい!」

「・・・。仕方がない。では、準備に必要な品物を所望する。」

「分かった、申せ!」

「うむ、魔晶石20個、精霊石20個、無垢の枝5本、ヤギを1頭を用意しろ。」

「ヤギ・・・。生贄が必要なのか・・・。」

「あぁ、我にな。」

「ん?」

「腹が減っては動けんだろう!そんな事も分からぬか!無能め!!」


バンゴは握りこぶしを震わせながらも「分かった」と応答し、次の目的地に向かう。あまりこの場所には居たくないのだ。

次の目的地は、この国三番手の商人、ナイロウの屋敷だ。ナイロウは様々な鉱石等の貿易に強い商人だ。今回の魔獣襲撃では全く被害が出なかった、運のよい商人である。


「失礼!ご予約は御座いますか?」

「儂はバンゴだ!王の命令により訪れた!通るぞ!」

「はっ!失礼いたしました!!」


警備の恭しい態度を尻目にナイロウのもとへ急ぐ。


「ナイロウ!来てやったぞ!仕事だ!」

「いつもありがとうございます、宰相様。して、今回の内容はいかがなものでしょうか?」


ナイロウは白く短いひげを手でもてあそびながら、恭しく仕事内容を聞いた。


「うむ、影を使う!魔晶石40、精霊石40、無垢の枝5、ヤギ1頭だ!」

「はい、かしこまりました。ヤギは扱ってはおりませんが、探してまいります。して、今回はどちらに請求を回せばよろしいでしょうか?」

「直接儂の所へ持ってまいれ。」

「かしこまりました・・・。」


バンゴは基本的に仕事が出来るので、着実に段取りを進めていった。


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