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しあわせの国  作者: 狼眼
1章 しあわせの国・・グリフ王国・・

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忘れ去られた男

「おーい!腹減ったぞー!!」


湿気が多く薄暗い空間に、声がむなしく響いた。


「隊長~。おとなしく寝てましょうゃ・・・。腹減った。」

「腹減ったっていうな!俺まで腹が減るだろ!!」

「えぇ~。隊長が先に・・・。もういいです。」


ここはグリフ王国の地下牢。ちょっと前までは弟子のアルバートや悪たれサンタスたちが飯を運んできたもんだが、奴らは入隊試験の為に演習へ向かったままだ。

昨日、大きな戦闘音、主に魔術が炸裂する音が聞こえていたが、どこかからの襲撃があったのだろうか?アルバート達は無事だったのだろうか・・・。無事だったら、飯を持ってきてくれ~。


まぁ、少し前に牢屋を出たガイン、俺が率いるハイエル小隊の斥候が、情報と一緒に飯を持ってきてくれるだろう。それまでの辛抱だな・・・。


そう思っていた所に、扉が開く音が聞こえた。・・・ガインだ!


「遅かったな、ガイン。」

「お待たせしました、隊長。」

「先ずは、何か食べるものは無いか?」

「何言ってんですか、今、外は大変なんですよ?」

「戦いがあったみたいだな。」

「えぇ、魔獣の襲来です。」

「魔獣!街は!城は!どうなった?」

「隊長が安全なんですよ?城は大丈夫です。街も、まぁ、何とか、大丈夫でしょう・・・。以前と同じ様な感じになりました。」

「そうか・・・。やはりか・・・。で、飯は?」

「・・・。すみません。忘れました・・。」


ガインの一言に、俺は膝から崩れ落ちた。



「で、外の具合は?」

「はい、魔獣の襲撃があったのですが、直前に召喚していた勇者パーティーがいまして、出発したてのそいつらが急遽戻ってきて、あっという間に魔獣を討伐してしまいました。」

「勇者・・。まだそんな事やってんのか、あの能無しが!」

「隊長、国王をそんな風に悪く言ったら、不敬罪で拘留期間が伸びますよ?」

「だれも国王なんて言ってないだろ?で、街の被害は?」

「一つ目の城壁の一部が大破、大聖堂、集会所、温泉施設、ガーリモンド商会、この辺りの施設が全損ですね。街の5割以上は無傷のままです。七年前のあれよりはましですよ。」

「そうか、ましとは言え大きな犠牲が出たな。」


大聖堂は勿論、温泉施設もこの国の収入源の一つである。ガーリモンド商会はこの国の二番手の大商人の商会で、裏では怪しい取引をしているものの、外国との交易は馬鹿にならない。

元に戻るには、また数年かかることだろう。


「そうだ、あいつはどうした!アルバート!」

「あぁ、アルですか。昨晩、隊長の宿舎にこそこそと入っていきましたよ?あれで隠密行動でもしているつもりだったんでしょうかね~。」

「アルは、何をしていたと思う?」

「さぁ、特に何かを持って出た様には見えませんでしたよ?」

「そうか・・・。あれを見に行ったのかもな・・・。」

「あれ、ですか?あれって何ですか?」

「・・・。なんだろうな。何かあるはずなんだが、ちょっと重要な何か、としか思い出せないな。」


きっと、アルは俺たちの持っている情報を見に行ったのだろう。その情報が何かを思い出すためにも、メグと連絡を取らなくてはいけないな。メグの事を忘れたときは、メグに殺されるかと思ったが、今は大丈夫。記憶を取り戻すならメグ。それは覚えている。


「そろそろここを出たいな・・・。」

「隊長の腕輪はまだ光を失っていないですよ?」

「わかってる!この調子だと、あと二か月はかかりそうだ。・・。何か策は無いか探っておいてくれないか?」

「無理ですよ!二年前も散々探しましたからね!」

「あぁ、ついででいいんだ。気に留めておいてくれよ。」

「わかりましたよ~。で、本命は?」

「アルの追跡を頼む。」

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