追加のもふもふと
獣人たちが既にバレッタ共和国を出ているという話を聞いた俺たちは、追加で家を作ることにした。
ナンディンさんの兄であるカンディンさんも来てくれたことで、力仕事が非常にはかどる。
牛人がもっと来てくれれば、待ちの守護にも回せそうなんだが、全体の中でも牛人は数が少ないらしい。
何故か無条件で戦闘になってしまうらしいのだ。
ま、見た目はミノタウロスだしな。
「アルバートさん!こっちの区画は完了しましたよ!次、どうしましょうか?」
アンクリウスさんは、なぜか俺に指示を仰ぎに来る。
「では、農地の整備をしましょうか。区画整理は終わっているので、耕していってもらえますか?」
「分かりましたです!」
指示出しをしていると、暇そう・・・巡回中のロア師匠がこっちに来ていた。
「あぁロア師匠。どうですか?異常は有りませんか?」
「あるわけないだろ。街道からもそれなりに離れてはいるし・・・。何もないからな・・・・。」
「それはそうと、アンクリウスさんは、なんで俺に指示を仰ぎに来るんでしょうかね?結構なリーダーシップを持っていると思うんですが。」
「・・・それは、獣人の習性って奴さ。犬人達は、主に仕えるのが好きなんだ。・・・私が適当にあしらっているから、お前に頼っているんだろうな。」
「・・・そう言う事ですか・・。納得しました。」
「獣人はそれぞれ特性が有るから、上手く相性が合えばいいのだがな・・。」
少し離れた農地で、アンクリウスさんが楽しそうに地面を耕している。
数日掛けて、農地の開墾が完了した。
ナンディンさんとカンディンさんが加わった事で、恐ろしい速さで物事が進んでいく。とても有能だ。
建物も予定通り建築が終わり、防水加工などを施して言っている。
まだ寒い時期なので、まとまった雨は降ることが無いが、雪は多少降ってくる。
獣人の子供たちが楽しそうに雪で遊ぶ姿は、見ているだけでほっこりしてしまう。
更に数日後、残りの獣人たちが到着した。
子供たちよりも衰弱している様だが、何かあったのだろうか?
「やぁ、ギニン、長旅ご苦労さん。」
「・・・やっと着いた・・・。まずは眠らせて・・・くれ。」
ギニンはそのまま見張り台の傍に建てられた小屋へ入っていった。
「ふぅ。やっと着いたわね・・・あら?こちら、素敵な人間ね?・・・尻尾、触ってみる?」
犬人の女性?が、何やら迫ってきた。
「よ、ようこそ獣人たちの町へ・・・。お名前は?」
「私はインクリウスよ?・・・・んもう、ここに来る途中の国で、散々な目に合ったのよ。」
「何かトラブルがあったんですか?」
「ん何かね?ガンドラ王国が鎖国を宣言したらしくてね?ものすご~~く遠回りしてきたのよ。」
「鎖国?なんでまた・・・。」
「そんな事知らないわよ・・・それより・・・お腹。モフモフしてみない?」
ちょっとモフってみたいとは思うが、女性の体を撫でまわすのは良くないだろう・・・。
「あれ?姉さん。到着したんだね?」
「あら、アンクリウス。そうそう、そこで素敵な人間を見つけたのよ?」
「・・・姉さん。その方は、この町の建設指揮をしてくださっているアルバートさんですよ。不敬の無いようにしてくださいね?」
「んなんだ。そうなの・・・。いつでもモフモフしてもいいからね?」
インクリウスさんが白居尻尾をフリフリしている。
犬人の誘惑の仕方って、こんなんなんだ。




