王城にて
やたらと人気な腕相撲を終えて、王城の正面階段を上っていく。
城内に入っていく人はまばらではあるが、みな身なりのしっかりとした人達ばかりで、場違い感が否めない。
「あ、おめでとうアルバート!」
「おめでとうビルット!今日は王城の警備か?」
「あぁ、他国のお客様も来るからね。もう、びくびくだよ。さっきなんて獣人が来てたぜ?」
「獣人か・・・珍しいな。どんな感じだった?」
「・・狼男、猫娘・・・あと牛?」
「種類が豊富だな。どこの国から来たのやら・・・。」
「大体が、クロウ・イロン王国やテイケイ帝国とかの東側の国より北東かららしいぜ?こっちの方じゃあんまり見かけないもんな。」
「でも、森の民との関わりはあるって聞いたことがあるけど、こんな寒時時期に、・・・獣人って寒さに強いのかな?」
「そうでもないですよ。」
「!えっ、あっ、その!・・・聞こえてました?」
俺はビルットと話をしていて気が付かなかったが、俺の隣には犬っぽい顔をした獣人が立っていた。
「申し訳ない。つい声が耳に入ってきたもので・・・。申し遅れました。私、バレッタ共和国から参りましたウォンと申します。」
「こ、これはどうも!リーフ王国のアルバートです。・・・で、純粋な疑問なんですが、なぜこんな時期にこの国へいらしたのですか?」
ウォンさんは背筋を伸ばしてちょっとりりしく見える。人間だったら渋めの男性というポジションなんだろうな。
「私たち獣人は、寒さに強いのではなく、暑さに弱いのです。なので、こんな時期でもない限りは、デュアル様にお会いする事は出来ませんから・・・。」
「あ、王様のお知り合いだったんですね!」
「知り合いというか・・・恩人ですね。」
「恩人・・・ですか。」
ウォンさんは遠い目をして語り出した。
「ほんの少し前まで、獣人は基本的に迫害されておりましたので・・・。冒険者などで一山当てない限りは、ほとんどがスラムで過ごしたり、森の中で過ごしたりと、大変だったのですよ。それが数年前、魔獣が各地で大発生した時です。デュアル様が我々に力を貸していただけまして、共和国の市民権を勝ち取るまでになったのです。まぁ、まだ完全に人々と仲良くやれているわけではありませんが、一昔前と比べると、天国の様な状態ですよ。」
「へぇ~。そんなこともあったんですね~。」
「そうなんです。しかも先ほどお会いした時には、近隣の草原を開拓し、リーフ王国内での居住を許可するとまで言ってくださいました。もう・・・私は・・・感激して・・・・ワォオオオオン!」
ウォンさんは感激の涙を流しながら去っていった。
「・・・泣くときは、わぉおおおんなのな。」
「びっくりしたな。」
その後少し、ビルットと話をした後、俺は謁見の間へと向かう事にした。
ドガァーン!!!
「何なのにゃ!急に何にゃ!にゃにゃ~!!!」
あれは?さっきビルットが言っていた猫娘か?
やたら慌てていたが、何かやらかしたのだろうか・・・。あたりがざわついている・・。
俺は少し急いで謁見の間へと足を踏み入れた。
謁見の間は、炎に包まれていた・・・。
王の玉座へ続く赤いカーペットが燃え上がり、側近のメイジが魔術で火を消しているところだった。
「デュアル様・・・おめでとうございます?・・・これは、いったい。」
なぜかハンナ王妃を羽交い絞めにしていたデュアル様に声を掛けた。
「おっ、アルバートか、おめでとう。・・・よく来たな・・・。」
「ハンナ王妃、おめでとうございます。」
「フゥフゥフゥ・・・・ハッ!私は一体・・・。あら?アルバート君じゃない。おめでとう。」
ハンナ王妃は、急に我に返った様に笑顔で挨拶をしてくれた。
「一体、何があったんですか?」
「アルバート・・・ちょっと・・・。」
デュアル様に手招きされて、玉座から少し離れた場所にやってきた。
「どうされたんですか?」
「実はな・・・・。」




