てんき
俺は、柄にもなく鼻血を出してぶっ倒れてしまったらしい。
気が付くと、部屋のベッドの上で介抱されていた。
「も~。マリーさんが無茶するから!」
「ほんとだよ!なんであそこで男湯に居るかな~?抜け駆け?」
「あなた達も何ですか?私の話を聞いていました?今日は、分岐点が有ったら左なのです。私が宣言した事を聞いていないあなた達って、いったいどうなんでしょうね。嘆かわしいですわ?」
俺の周りで何か勝手な論争が始まっている。
「マリー・・・あんた・・・あれは分岐点とは言わんだろ・・。」
「そうかしら?でも、良いことは有ったんじゃない事?」
「・・・。」「・・・。」
俺は何も言えなかったが、そのせいでリンから変な目で見られてしまった。
早く湯から上がったから時間が余ってしまった。
「暇ね・・・。」
「話をすり替えんな!」
「そうだリン、時間が有るならそろそろあれ、やってみようか。」
「なに?アル君も話をすり替える?」
「そうじゃなくて、箱を取り寄せてみようって。」
「ふぅん。なんかごまかそうとしているみたいな・・。」
そうは言いつつも、集中し始めるリン。
「あ・・・なんかくるよ?」
リンがつぶやくと、空間に黒い穴が開いた。
ゴト!
前回降ってきた箱と同じ箱が落ちてきた。
「今回も何か入っているのか?」
「今、開けるから待って。」
箱の中を見たリンは、紙を取り出すと内容を確認し始める。
「・・・。この手紙は前回と同じもの・・。これは?」
「新しい手紙だね?どれどれ?」
ミリアムも手紙をのぞき込む。
「!アル君!大変!!」
「な?なにが?」
急に名前を呼ばれて驚いてしまった。
「帰って来たって!」
「・・・王妃様が?」
「いや、グレイスさんの方だね~。」
「ほら!私が左を選んで正解でしたわね!」
マリー一人だけテンションが違う・・・。
「なんで、グレイスさん・・・だけ?」
「なんか、王妃とグレイスさんとその他数名で、私たちと同じような事をしたみたいね。何回もアポート使って実験したみたいだね。」
「で?」
俺たちは小動物から実験をしようとしていたが、王妃様達は後が無かったのか、グレイスさんが飛び込んでみたらしい。
そしてその瞬間に空間が閉じたという事だ。
「で?俺たちはどうすればいいんだ?」
「・・・何も書いてないの。」
「・・・神頼みでもするか・・・。」
一旦リーフに帰るのも一つの手段だろうが、情報が無い以上、迂闊に動くわけにはいかないだろう。
「ここは泥酔マリーに任せてみようか。」
「あらアルバート君?いつからマリーさんからマリーって呼び捨てになったのかしら?」
「あんたが男湯に入ってきて、あた真ん中がぐちゃぐちゃになってから。ほら、神様の啓示を聞く準備をしなきゃ。」
「分かりましたわ。あなたより少しお姉さんなのだから、敬ってほしいのだけれども。まぁいいですわ。」
「酒は1瓶だけにしてくれよ?介抱するのが面倒だからな。」
「あら、全裸で女の子に介抱されていたあなたはどうなのかしら?」
泥酔マリーが1瓶煽った所でマリーが口を開いた。
「【歩みを止めるな・・・。求める者はまだ先に・・・ある。】ですわ。」
「今回はやけにはっきりとした内容だな・・・。」
「私がしっかりと神の啓示に従っているからですわ。」
俺が今後の方針を決めた所で、リンが騒ぎ出した。
「アル君!もう一枚!箱の中に紙が張り付いてた!!」




