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しあわせの国  作者: 狼眼


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成長してるのか?

俺とメイルーンは、ガーラさんが待っている場所へ移動している。

町への入り口、と言うか落とし穴の近くにある蔦で覆われた空間で待っているとの事だが、そんな場所はあっただろうか?


落とし穴の終点にたどり着いたものの、特に何かある様にも思えない。


「メイルーン、どこに行けばいいんだろうか?」

「ほら、そこよ。滑り台の裏手にツタの壁があるでしょ?」

「あれを滑り台と言うのか?・・・ここか?」


一応滑り台らしい蔦の壁の一部に隙間がある様だ。


「叔父様!連れて来たわよ!」

「あぁ、入ってくれ。」


蔦の内側からガーラさんの声がした。

おじゃましま~す。と蔦をかき分けて内部に侵入すると、予想を軽く超える空間が広がっていた。


「来たか小僧。そこに座れ。」


ガーラさんが指で示したところの蔦が盛り上がり、椅子とテーブルが出来上がる。


「叔父様?今日は精霊界への扉を開くのよね?私も行っていい?」

「・・・お前・・・。小僧、お前は良いのか?」

「えぇ、良いですよ?剣づくりも頑張ってくれたので・・・問題ないんですよね?」

「まぁ、小うるさいだけだ。」

「まあ!ひどいわ叔父様!!子供じゃないんだから、精霊界ぐらいで騒がないわよ!」

「らしいぞ?」

「はは・・・。良いんじゃないですか?」


そんな話をしていると、メイルーンも椅子に座りガーラさんを待っている。


「よし、良いだろう。ほら、茶でも飲め。」


出されたお茶を俺とメイルーンが飲む。花の香がするお茶で少し甘くて飲みやすい。

部屋全体も甘い香りに包まれて、体が暖かくなってきた。


「ではこれから、精霊界への扉を開く・・・。目をつむり、瞑想しろ。」


精霊祭の時に何度も行った瞑想だが、あれ以来一度も精霊界にはいっていない。ちょっと楽しみだ。

花の甘い香りの効果もあり、精神集中がはかどる。


壁の蔦の隙間から風が流れ込んでくる・・・。水の流れる音・・・。苔の香り・・・。



『アルバート、もう目を開けても大丈夫よ?』

『おぉ、今回は早かったですね。』

『前回は俺とお前とデュアルだったからな。デュアルの代わりにメイルーンが居るならそれなりに早くはなる。それに・・。』

『それに?』

『小僧の力も上がっている様だな。』

『なるほど、精神力の量で精霊界への扉の開き方が変わるんですね?』

『雑に言えばそうだ。』


久しぶりに入った精霊界だが、空は高く明るく、無限に広がっている様に思える。前回とは少し違い、小さな滝や花畑も見える。


『小僧、お前の周りの精霊を見てみろ。』

『えぇっと。やっぱり君は一番近くにいるね?』


黒い靄のような精霊、闇と精神の精霊シェイドだ。


『それから、シルフ、ウンディーネ。と、ウィル・オー・ウィスプ・・・。ノームは少し遠いか。』

『苦手意識は持たない方が良いわよ?』


俺は身の回りの精霊を確認していく。


『?この精霊は?まだあった事が無かったよね?』

『そいつは鋼の精霊だな。金属系の精霊は無口だが、仲間想いな奴だ。仲良くしておけよ?』

『無口って事は、洞窟で話しかけられた精霊とは違うのか・・・。』


洞窟で聞いた優しい女性の様な声、あの声の主はどんな精霊だったのだろうか・・・。


『おい小僧、お前の頭の上にも精霊が乗っているぞ?』

『え?気付かなかった。あなたは何の精霊ですか?』


女性っぽい姿の精霊が、頭の上からのぞき込んできた。


『久しぶりね。あの娘は無事だったようね?』


優しく微笑んでくれているが、重さは全く感じることは無い。


『小僧、その精霊は、勇気の精霊バルキリーだ。もうそこまで見えているのか・・・。』


既にデュアルを越したか・・と、ガーラさんは呟いたが、相性もあるので、そうは思えない。


『バルキリーね。戦の精霊とも呼ばれているわ?あんた、精神系の精霊に好かれやすいのね。』

『バルキリーはどんな事が出来るの?』


俺は直接バルキリーに尋ねてみる。


『私は、人に勇気を与えたり、遠距離攻撃も出来るわよ?』

『攻撃!今までは、武器に宿った精霊の力を使ったり、ウィル・オー・ウィスプをぶつけるだけだったのに・・・ついに正式な遠距離攻撃がぁ!』

『ウィル・オー・ウィスプはあんまりぶつけちゃだめよ?あれはあれで、ちょっと痛いんだから。だから、今度からは、私の投槍を使ってね?』


バルキリーは微笑んで、頭の上でくるくると回った。


『小僧、戦う精霊戦士には最適の精霊ではないか。運のいい奴だ。ちなみにデュアルは使えないから、今度会ったら自慢してやれ。』


おそらく本気で言っているのだろうが、一国の王相手に煽る気はない。

バルキリー。これからよろしくな。


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