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しあわせの国  作者: 狼眼


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178/346

TPO

「どうすんだ、これ。」


更に凶悪になったサンドゴーレムを見て俺は呟く。

サンドゴーレムと炎は相性が良かったのか、周りの砂も吸収しながら巨大化している様に見える。コアと思われる部分はまがまがしく輝き、さらなる力を欲している様にも思えた。


「土の塊には効果は無いが、溶岩の様になったのなら・・。」


俺は、腰の水袋を取り出し蓋を解放する。水の精霊であるウンディーネに力を借りるために・・・。


『・・・待て。・・・この場所・・・水の精霊では、力を発揮できまい。・・・この剣にウンディーネの力を取り込むのだ。』


は?この声、ジンの声だろうか。

確かに、この場所の精霊力バランスは大きく崩れている。これっぽっちの水で呼び出せるウンディーネの力では、それこそ焼け石に水だろう。

剣に取り込ませてどうなる?


しかし、俺の思考はまとまらない。サンドゴーレムはもう目の前まで来ているというのに。


「ちょっと!あんた!何固まってんのよ!攻撃するなり、逃げるなりしなさいよ!」


更に、ミリアムがうるさい。

俺は考える事を止め、ジンの提案に乗ってみる事にした。


「水の乙女ウンディーネよ。我が剣に宿り給え。」


水袋の水が、噴水の様に飛び出し、左手に持った剣に吸い込まれていく。

剣は、青い光を放ちウンディーネの力を受け入れた様だ。


・・・で?どうする?

ここは一旦下がって・・・いや、もう遅い!


俺は魔法剣を目線と水平に構え、左腕の上に軽く乗せた。

ロア師匠から学んだ型ではないが、今はこれが最適だと直感的に思ったんだ。


赤く輝くコア、のような物に向けて狙いを定め・・・穿つ!


剣先は狙いを違わず敵を捕らえた。切っ先がゴーレムに触れた瞬間、白い靄のような物が、直線的に伸び、後ろに続いているサンドゴーレムをも巻き込んでいった。


「水と風の融合か・・やるわね。」


クローディアさんがつぶやいたおかげで、何が起こったかがはっきりと分かった。


水の精霊の力を、風の精霊の力で増幅させたのだ。炎系の敵に風の魔術を使うと力を増すことが有るらしいが、水分を内包した風であれば全く逆の効果となる。周囲の熱を奪いつつ、炎であれば力を減衰させ、土であれば流動性を失わせる・・・。今回はこれがぴったりとかみ合い、敵に大打撃を与えている様だ。


熱を孕んだサンドゴーレムは、冷え固まり、関節もない事から動くこともできなくなっている様だ。


「わ・・・私とこいつの合体技が効いたわね!」


この期に及んで自分の功を誇りたいのだろうか。ミリアムが冷や汗を垂らしながらも胸を張っている。


「見事な機転ねアルバート君、ちょっと危ないかと思っちゃった。あんなゴーレムに襲われたら、下手したら骨も残らないからね~。回復も無理だわ。」

「まぁ、アルバートの初動が遅かったのが要因ともいえる。敵を見極める事も大切だが、闘いは先手を取り、相手の得意を潰していくことが基本だ。判断力の敏捷性を上げるように。」


「はい。」


俺は、固まって動かなくなったゴーレムをばらし、コアを回収する。

・・・魔晶石がコアになっているのか。


掘削時に飛び散った破片や、搬送時に落ちた石が核となって、周りの物質に力を与えていたのだろう。


3体目のゴーレムからコアを抜き取り、師匠の方を振り向くと・・・ミリアムが砂に埋まっている。

ロア師匠の鉄拳が再び落ちたのだろう。・・・しっかりと師匠になってるじゃないですか・・。

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