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しあわせの国  作者: 狼眼


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チィリン砂漠の遺跡

チィリン王国の黄龍街を出て、来た時とは違う玄武街へと向かう。

街の名前が違うからと言って、内容が大きく変わるものでもない。大きな違いと言えば、北側には砂漠と海があるため、砂漠の方角の壁が高くなっており、海からくる強風を逸らす役割をしている所だろうか。

壁の外には針葉樹が多く植えられており、砂漠から飛来する砂を防ぐ役割を担っている。


玄武街から外へ続く大きな門をくぐる際には、三重の扉が待ち構えており、外部の風や砂が入り込まないような工夫が施されている。・・・が、正直面倒臭い。


三つ目の扉を開けた直後、乾季真っただ中のような、暑く乾いた風が吹きつけてきた。


「アルバート、さっき買ったフード付きマントを着るんだ。フェイスシールドも下げろよ。」

「はい、えぇっと、こうですね。」


砂漠の装備は厳重で、首から上がすっぽりと覆われるようになっている。目の部分だけは極薄の黒い布が当てられており、辛うじて視界が確保されるようになっている。

ここまで肌の露出が少ないロア師匠を見るのは初めてではないだろうか?


馬車は王城で預かってもらっているが、馬は連れてきている。

アイマスクをして、ノーズカバーをかぶせてあるため、砂が入り込むような事はなさそうだ。

馬の上にはクローディアさんが、同じようにマントを羽織って座っている。


「・・暑いわね・・・。あたし、暑いのダメなのよ・・・。調理場の冷凍剣を持ってくればよかった~。」

「グダグダ言っていないで、しっかりと馬を操れよ?砂に足を取られると、馬がケガして、帰りが大変になるからな。」

「はぁ~い。」


遠くには砂で出来た山があり海は見えないが、砂の山を越えて強い風が吹きつけてくるため、みんなが無言になった。




「そうだ、アルバート、この辺りの精霊の状況を見てくれないか?」

「はい・・・。あれ?」

「どうした?」

「精霊がほとんど見えません。これだけ風が吹いているのに・・・。」

「こういった自然現象は、精霊が関わっていない事もあるらしいわよ?」

「やはりそうか・・。一説によると、宝珠のような精霊力を安定させるような物質は、完成するまでに精霊力をため込む傾向があるらしい。」

「そんな、だったら、宝珠が出来上がるころには、辺り一帯が砂漠になってしまうじゃないですか。」

「あぁ、もちろんだ。世の中の文明は、宝珠のような物で繁栄と衰退を繰り返す。一定の周期で吸収、安定、崩壊を繰り返す宝珠と運命を共にするように・・・。」

「今回のこの状況も、宝珠が影響していると?」

「宝珠が出来かけているといった方がいいか。今はただ、精霊力を吸い取り続ける魔法具の様なものだと思った方が良いだろう。」

「でも、ほおっておいたら、いずれは宝珠が完成して、安定するんですよね?」

「その間に、チィリンもリーフも砂漠に沈むだろうがな。」


「それは、ダメですね。」

「あぁ、だから前回も壊したんだ。」

「移動できる大きさ・・・ではないんですよね。」

「宝珠になるまでは、巨大な魔晶石だ。お前も見たような手のひらサイズの宝珠でも、元々はあのゴーレムが配置されていた洞窟の大きさ位は有っただろうな。」


結局、壊して威力を削ぐしかない様だ。

自然にできた宝珠を探して持ち帰る任務・・・。あれ、それって、宝珠があった場所の崩壊を意味するんじゃないか?

それとも、何か他に策があるんだろうか・・・。


「・・・安心しろ。デュアル師匠とハンナ様が何とかしてくれるさ。ガーラさんも居るしな。」


今は大局を見て動くことは俺にはできない。目の前に迫っている問題にぶつかる事しか俺にはできないからな。

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