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しあわせの国  作者: 狼眼


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山裾の館で

幾度かの休息を挟み、4日後に山裾の館・・・と思える場所に到着した。

広めの庭は荒れ放題で、生活感はない。


昔は白かったであろう館は、全体が黒ずんで、蔦がいたる所に張り付いている。


早速精霊視を試みてみる。


「こんな自然の中だと、精霊が多いな・・・。」


ざっと見た所、普通の自然の中と変わらない・・・人がいる?

どうやら、この荒れた屋敷の中には、人が入り込んでいる様だ。生活感は無いので、侵入者だろう。


・・・声を掛けるか・・・?屋内から、精霊力の動きが伝わってきた。


中で火を使っているのか?・・・移動している。

この館が何なのかは詳しく聞いていないが、調査するという事は、破壊する事ではないだろう。中の人間が火をつけようとしてるのならば、止めた方が良いかもしれない。


おれは、風の精霊の力を借り、音を消しながら屋内に侵入した。



外見とは違い、内部は意外と綺麗で、高価そうな絨毯、大きなシャンデリア、豪華なテーブル・・と、貴族の別荘を思わせるような作りだ。デュアル様の別荘か?

ただ、蔦が外壁や窓を覆っているため、室内は結構暗く、一人で侵入するには躊躇われるように思える。


「・・・・・」


前方の通路の角を、何かが通過したように見えた。

侵入者か?・・・いや、火の精霊力は2階で強く反応している。・・・なんだ?

・・・まさか・・・アンデット・・・。


以前、ガーラさんに教わった時に、精霊魔法は、ほぼ攻撃手段として相手に通じる。精霊力を消すようなギミックや、更に上位精霊相手出ない限りは効果がある。・・・もちろんアンデットにも。


念のため、風の精霊シルフから、光の精霊ウィル・オー・ウィスプを召喚しておく。


町や家に出てくるような、自然発生型のアンデットは、攻撃性が低いものが多い。洞窟やダンジョン等で発生するアンデットは、元々の人間が強力であったり、魔術を使えたりと、様々な攻撃手段を有していることが有る。そのため、ダンジョン等でアンデットに遭遇した際は、気を付けなければならない。


恐らく、先程の何かは、この家に巣くう浮遊霊や地縛霊だろう。

ま、俺は神官でも聖者でもないので、アンデットを見かけたら退治するしか方法はないけど。


アンデットを刺激しないように、ゆっくりと、辺りを警戒しながら進んでいく。


先程の通路の角に差し掛かった所で、変な気配がした。


「・・・ん?」


ゴバァ!


目の前が真っ赤になった・・・。何が?!


「・・・ここにもいたか、アンデットめ!」


女性の声・・・こちらに向かって剣を構えている。

その剣は炎を纏い、目の前にいたウィル・オー・ウィスプを消滅させてしまった。


「鬼火を使うとは、貴様、リッチか!」

「え、ちが・・・」

「ハァ!!」


剣に気合を入れると、纏っていた炎が増大する。

炎の剣を振りかぶり、俺に向かって振り下ろす。


「ヤァ!!」

「ちょ!あぶな!!」


俺はバックステップをしながら炎を避ける。相手はショートソード、こちらはバスタードソード。室内で振り回すようなものではない。

となると、精霊に助けを借りるしかない・・・。


「光の精霊よ!!」

「ちっ!また鬼火か・・・。」


ウィル・オー・ウィスプをけしかけようとしたが、以前グリフ王にぶつけた事を思い出し、これは女性に当ててもいい物か?と、一瞬、気がそれてしまった。


「くらえ!!」


再びウィスプがかき消される。・・・やばい!


「とどめだ!!」

「ちょっと、まって!!」


俺は距離を取るため・・・と言うか、その場を逃げ出した。

首筋に温かい風を感じながら、館の入り口に向けて一直線に駆け出した。

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