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しあわせの国  作者: 狼眼


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道中はのんびり一人旅

王国の南側は、大きな湖と森が有名だと言われている。湖と、そこに流れ込む清流のお陰で、乾季だというのに空気は潤っている。

この湖には魚が住んでいるものの、泥臭くて食えない事から、昔から放置されている。

そのせいか、自然は豊かで、冒険者の採取クエストなどには利用されている。


「いい場所じゃないか。」


任務の最中でなければ、この辺でキャンプでもしたい気分だ。今回の任務は、期限がないからのんびりしてもいいのだが、一人で時間を持て余すだけだろうな。


ここから見える山脈の手前までが王国の領土で、この山脈自体は何処の国も所有していないらしい。そのため、鉱山採掘などの作業は、自由ではあるが他国との摩擦も常に発生している。

何しろ、鉱石の採掘と国力とはほぼ比例しているからだ。どうせなら、山脈も領地に加えてしまえばいいのに、と思うが、この山脈には非常に強力な怪物が巣くっており、領地であれば討伐しない訳にはいかない。無駄な支出や人的財産の浪費を控えるために、あえて放置されているらしい。


だが、今回の俺の任務は、その山脈の麓にある館の調査だけ。気楽なもんだ。


「おっ、冒険者かね?一人とは物騒だ。十分気を付けなよ?」

「どうも!何かあったらすぐに逃げるんで!」


南からくる行商人や鉱石を運ぶ鉱山管理者とのすれ違いも、これで5回目だ。ここまで人通りが多いと、野獣等も近寄ってはこないだろう。




かなり歩いたが、湖はまだ俺の左側にある。どんだけでかいんだ。もっと王国に近ければ、子供たちの水遊びにはもってこいだろう。

俺は、湖のほとりで焚火をおこし晩飯を食べる事にした。


「すごいな・・・。」


湖を眺めると、対岸が見えない。海だと言われても信じてしまいそうだ。旧リーフの町で見た海は、何となく臭くて、波の音が心地よかった。しかし、この湖の臭いは余りなく、微かに泥の臭いが感じられる程度。波の音はしないことも無いが、微かなものとなっている。


同じ大きな水の塊でも、ここまでの差があるとは・・・。ゆっくり一人旅も、色々な事を知ることが出来るから楽しい。もし、師匠と一緒に走り抜けていたら、景色には目もくれず、疲労を癒す事だけに集中していた事だろう。




真夜中に、動物たちが湖の水を飲みに来ていたが、それ以外は特に何もなく、十分な睡眠をとることが出来た。



目覚めてすぐに湯を沸かし、食事の準備をする。

本日は、香湯と黒パンと塩とオイルだ。オイルを火で温め、塩を一つまみ入れ、黒パンをつけて食べる。簡単な調理だが、これがまた美味いんだ。


一息ついたとこで荷物をまとめ、出発の準備をする。このまま街道沿いを進めば、目的地にはつくらしいから、お気楽な旅だな。




「・・ぉ・・・ぁ・・・」


前方で何かの音が聞こえた。


「シルフ、お願い。前方に何かあるのかな?」



『人間が馬車に群がっているわ。』


盗賊か・・・。


このまま進めば、いずれ盗賊に会うだろう。だったらいっその事、前方の馬車と争っている所に乱入した方が良いのではないか・・・。どっちに避ければいいか分からんし・・・。


そう考えた俺は、そのままシルフの力を借りて、追い風の勢いに乗って走り出した。

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