無様な戦いの後始末
サンタスを力技で目覚めさせた後、俺たちはスライムの落ちた辺りを見に行くことにした。
「ここだよ、さっきは湯が沸いたみたいにブクブクってなっていたんだけどな。」
ビルットが手のひらを動かしながらブクブクの演技をする。
見てみると、藪と木の根の間が黒く変色している。蛇のように炭化まではしていないようだ。
「すごかったよね~。アルがぶっ飛ばしたあと、ぶわ~ってなってたもんね~。」
リンの言う「ぶわ~」が何を指しているかはわからないが、どうやら無事、スライムは討伐できたようだ。
「アル~、この蛇はどうする?」
「このまま放っておくのも気味が悪いし、埋めてしまおうか。」
穴を掘る道具もないので、ブロードソードで土を掘り返す。
「騎士の魂で穴を掘るなんて・・・。しかも曲がってるじゃないか!スライム相手で情けないぞ!」
「あの場合、側面で殴るしかなかったんだ。仕方のない事だ。刃を立てていたら、切断してしまって、サンタスに半分は降り注いだはずだ。剣が曲がることで失禁で済んだことは不幸中の幸いだと思うが?」
「っるせ~な!失禁言うな!で、こっち見るな!」
コーギの振りに乗って、サンタスをいじり倒す。しばらくはこのネタでサンタスもおとなしくなるだろう。
「しかし、まじめな話、この蛇、どうなったんだろうな。」
「まるで焼け焦げた木の枝だ。寄生と消化を同時に行っていたのだろう。おぞましい限りだ。」
コーギは顔をしかめて嫌悪感を露わにした。
そこからは無言で穴を掘り、蛇を埋める作業が続いた。
蛇を埋め、剣に付いた土を木の枝でそぎ落としておく。と、何かが近づいてくるような音が聞こえる。
俺たちはそれぞれの武器に手を掛け、音の方へ集中した。
「アニキ!アニキの荷物、持ってきましたよ!」
嬉しそうにサンタスの荷物袋を掲げながら、ギニンが走ってきた。果たして、最小限の荷物の中にズボンの替えなんか入っているものだろうか?
「お前ら!こっち見るなよ!」
ギニンから荷物を受け取ると、木陰に移動してごそごそとしている。
「君の着替えなんか興味ないよ~。」
ビルットはコーギの前に回り込み、視界を遮りつつサンタスをからかう。
サンタスがごそごそしているうちに、忘れかけていた罠の見回りを行った。
「おっ、やった!こっちに兎がかかってるぞ!」
バタバタして忘れかけていたが、獲物が取れないと晩飯も怪しくなってくる。ここで兎が手に入ったのはありがたい!
「ほんとだぁ~!かわい~!抱かせて!」
リンが兎を俺から奪い取った。恐るべきスピードだ。
兎は気絶はしているが、死んではいないようだ。新鮮な肉を持って帰るには丁度いいだろう。
「ぅわぁ~。ふわふわ~。ねぇ、この子、名前は何にする?」
「飼うのか?」
「飼わないの?」
「リンの家はメロス(犬)がいるだろ?持って帰るとメロス(犬)が喜ぶぞ~。おいしそう!って。」
「え~。ダメかな~?」
「リンちゃん、今回は野外演習の最中だから、体調は万全にしておかなければ何かあった時に危ないんだ。失禁だけじゃすまなくなってしまう。」
ビルットがサンタスをいじりながらリンを諭す。
「そっか~、お漏らしはやだな~。ごめんね、トビまる・・・。」
「トビまるなんだ・・・。」
「じゃぁ、おいしく食べてあげないとね!」
「・・・・。」
リンの思考の切り替えの早さに呆然としつつ、サンタスが木陰からなかなか出てこない事に、次の展開が楽しみで仕方がない俺がいた。




