鍛錬と手入れ
「・・・お帰りなさい。」
木ノ葉亭に着くと、クローディアさんが出迎えてくれた。
俺は、新たな武器を手に入れ、ロア師匠は、デュアルさんに認められたうれしさもあり、2人で剣の練習を行う流れとなった。
「クローディア、裏庭を使うからな。」
「分かったわ。今日は壁、壊さないでね。」
「大丈夫だ。」
クローディアさんの居るカウンター横を抜け、階段裏から木ノ葉亭の裏手に出る事が出来る。今からここで、俺の型を見てくれるそうだ。
「よし、アルバート、剣を振ってみろ。」
「はい!」
俺は、ザイール師匠に教わった、突きがメインの構えをとってみる。武器は木刀だ。
「よし、はじめ!」
「ハ!ハ!フ!フ!・・・」
「なるほどぉ・・・師匠がほめていたのはコレか。・・・よし、やめ!」
「どうですか?」
デュアル様に褒められたこともあり、ちょっと自信をもって聞いてみる。
「・・お前は、師匠を間違えたな。・・・と言うより、体格に合わない技を教えるとは・・・。変わり者もいたもんだ。」
「なんか、ザイール師匠を悪く言われているみたいで・・・。」
「そうだ、ザイールも悪い!お前も悪い!その体格で、バスタードソードを装備して、決め業が突き?・・・そういう奴もいないことは無いが、勿体なさすぎる!!!」
「そうですかねぇ。」
「突きは、確かに躱し辛い。しかし、技のバリエーションが少ない事と、複数の敵に囲まれた際には無力だ。1対1の武術大会などではそこそこだろうが、外ではそうはいかん。・・・鍛えなおしだな。」
ロア師匠の目が、赤く光ったように思えた。
「ほら!腕が下がってきている!」
「はい!」
「2連撃のスピードを落とすな!」
「はぃ!」
あの後暫く、ロアさんのグレートソードを使って型の練習が始まった。袈裟斬り、逆袈裟斬りの繰り返しだが、普段より重たい武器での素振りは中々きついものがある。ロア師匠も予備の剣を使って、俺の正面で剣を振っている。・・・軽そうだな・・・。
「ほら!剣筋がブレているぞ!常に同じ場所を通すように振れ!」
「はぃ。」
柄の部分から伸びる布で、手に固定しているからまだ振れているが、これが無ければ剣が吹っ飛んでしまっているかもしれない。
「スピード!もっと早く!!」
「ふ、ひ・・・。」
「・・・・あと10回!・9・・8・・7・・6・・5・・4・・3・・2・・1・・終了!」
「がぁ~。きついぃ!」
「少し汗をかいたか・・・ほら、これで体を拭け。」
「あぢがとうござぃますぅ。」
ロア師匠が投げてくれたタオルは、地面に転がった俺の顔にかぶさった。・・・いい匂いだ。
「やはりお前は、筋肉が有るんだから・・・突きも良いが・・・しっかり振れるようにしておかないとな・・。」
ロア師匠も汗を拭いているのだろうか?そんなに汗をかいていたようには見えなかったが・・・。
顔面を覆っているタオルを掴み、顔の汗を拭く取る。
顔の汗がぬぐわれて気持ちがいい・・・が、喉も腕も腹も、汗がまとわりついて気持ちが悪い。
俺は、寝転がったまま、首、腕の汗を拭っていくが、目の前には見慣れない光景が広がっていた。
「ロア師匠?何してるんですか?」
「ん?汗を拭っているんだが?何か変か?」
ロア師匠は、ビキニアーマーを外して、上半身裸で汗を拭いている・・。
し、し、した乳!!
「・・・なぜ、アーマーを脱いで・・外しているのでしょうか?」
「あのなぁ、ビキニアーマーは通気性が悪いんだぞ?実はめちゃくちゃ汗が溜まるんだ。・・・素肌に触れる部分は内側の摩擦が少ないように、柔らかい素材になっていてな?これがまた、熱を逃がさないんだ・・。ほら、放っておくと、汗でかぶれてしまう。」
ロア師匠は、大きめの胸を持ち上げて、脇の辺りを見せつけてきた。・・・少し赤くなってはいるが。
「・・見えてます。」
「だろ?涼しそうに見えて、乾季は熱いし、休季は寒いし・・・ろくなことがないよ。」
だったら何故ビキニアーマー!?って叫びたいけど、不思議と口も目も動かせない・・・。
「しかも、汗でここの金具の部分が錆びやすくなるんだ。・・・ほら。」
ビキニアーマーの金具部分をもって、俺に見せるために近寄ってくる。
ち、近い、近い!!
「・・・はぁ、また金具を変えないと・・・。いっその事、ミスリルにするか・・・。」
ロア師匠の、大きめの胸から先っぽまで・・・・。ありがたや、ありがたや・・・。
「師匠・・。服、着ませんか?」
「ん?なんだ、恥ずかしいのか?ウブな奴だな~。こんなのどぉってことねぇよ!ハッハッハ!」
ロア師匠は方にタオルを乗せながら、豪快に笑った。
いや、あなた、まだそんなに年くってないはずだろ?
・・・確かに、これならハンナ様が怒るのも分かるわ。
ロア師匠はそのまま、ビキニアーマーの手入れを行っている。
そんなに気になるなら、ビキニアーマー着るなよ!!




