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第4劇 「サプライズ!」

「待ってね、今色々あり過ぎて理解が追い付かないから」有栖は深呼吸して息を整えると話し出す。


「えっとまず貴方の名前はレイシーでそして私を護る為に生まれたの?」有栖が聞くとレイシーが頷く。


「そうだよ後名前は親しみを込めてレイって呼んでよ有栖」


「分かったよレイそれで後一つ気になるのが貴方は化物なの?」有栖は恐る恐る聞いた。


「まあ、厳密に言えば私も有栖も化物の部類に入ると思うから敢えて分類するならって話だよ」レイの説明を受け有栖も納得する。


「それともう一つ聞いてもいい?」


有栖はレイを指差しながら言った。


「どうして裸なの?」有栖の言う通りレイは生まれたままの姿でありその身体は返り血で紅く染まっていた。


「しょうがないよだって私有栖の中から出てきたんだし」レイは恥ずかしそうに頬を赤らめながら言う。


「え?ちょっと待って、私の身体から出てきたの?」


有栖は戸惑いながら上着を脱ぐ。


「有栖ったら大胆ねもしかして誘ってるの?」


レイが生暖かい目線を送るが当の有栖はそんな事等相手にもせず確認する。


見ると彼女の胸の真ん中に大きな縫合の後があった。


「もしかしてこれって」有栖が言う前にレイが答える。


「ごめんね有栖貴方の心臓(ハート)頂いちゃったんだ」レイが手を合わせてウィンクしながら言った。


「つまり貴方は私のスペアの心臓から生まれたのね」


そう有栖はこの世界に来る前にバニーの説明を思い出した。曰く有栖の身体は人造人間(ホムンクルス)と言われる人工の身体そして有栖の身体には生命の危機に瀕した時用のスペアの身体を作る為の心臓を仕込ませている。


つまり今目の前に居る少女は2つある心臓の一つから生まれた存在なのだ。


「でもおかしいよねだってもし私のスペアとして生まれたんなら全く私と同じじゃないと変よ、でも貴方は完全に私とは別人ね」有栖はレイの顔を見つめながら言った。


「貴方は一体何者なの?」有栖の問いにレイは少し哀しげな表情を見せて言った。


「それは有栖自身が思い出さないと駄目だよ、でも大丈夫きっと有栖なら思い出せるよ」


レイの哀しげな表情を見て有栖もそれ以上聞く事は無かった。


「ごめん、今は何も思い出せないけどいつか必ず思い出すよ」有栖の返答にレイの表情が明るくなる。


「うん、分かった思い出せるまで待ってるよそれと話は変わるんだけど」レイが地下牢の入口を指す。


「有栖に見て欲しいものがあるんだ」


「私に?地下にはあのお婆さんしか居ないはずよね?」そうあの地下には有栖を助けてくれた老婆が居たのだ。だがレイは有栖の手を握りながら誘う。


「きっと喜んでくれるよ」レイの無邪気な笑顔を見て有栖は少し恐怖を覚えながらもついて行く事にした。


地下へ行く道は薄暗く壁には小さなランタンが掛けられていた。有栖はレイと一緒に暗い階段を一歩ずつ進んでいった。


一番下まで着くと牢屋が並んでおり中にはあの老婆と同じく繋がれた女達が虚ろな目で見ていた。


「私が見せたいのはこの場所よりも更に下なんだ」


「ここよりも下があるの?」有栖がレイに聞くとレイは真っすぐ進んでいく。そして一番奥の壁に着くと真ん中を押す、すると壁が重い音を立てながら動きだす。


「こっちだよ有栖」レイが冷たく微笑みながら手招きする。


「待って、この牢に私を助けてくれた人が居るの」


有栖はレイの誘いを一旦断り自分が囚われていた牢を確認する、だが有栖の居た牢はもぬけの殻になっており誰もいなかった。


「あれ?居ないどこに行ったの?」有栖が一人困惑して居ると。


「最初からそこには誰もいなかったよ?」有栖は驚き振り返るとレイが立っていた。


「そんな筈無い!だって私は彼女のおかげで脱出できたんだから」有栖が1人呟くが目の前の牢には誰も居ない。


「居ないものは仕方ないよそれより付いてきてよ有栖?」レイに言われ有栖も納得出来ないまま壁の向こうの階段を降りていった。


薄暗い階段を進む事に強烈な獣臭が鼻に突く。有栖は顔をしかめながら進むのに対しレイは鼻歌でも奏でそうな程の涼しい顔で進む。


「着いたよ」レイが案内した先にあったのは血の匂いが充満する空間だった。有栖は近くのランタンに火を点けた。


「ひ、何これ?血の付いた器具?」ランタンの灯りに照らされた空間には針の付いた椅子や、人間の皮膚がこびり付いたロープ、そして人間の血が染み付いたナイフが壁に掛けられていた。


「ここって拷問部屋?」有栖が恐る恐る聞く。


「惜しいね有栖、ここはね解体部屋って言って攫ってきた人達の手足を切り落として女王の血袋を作る場所何だって」レイが嬉々として話す。


「それじゃあ、地下牢の人達もここで?」有栖の問いにレイが頷く、だが有栖には一つ気になる事があった。


「でも何でこの場所と用途をレイが知ってるの?」


私が聞くとレイの顔が邪悪に歪む。


「それはね優しいおじさんが教えてくれたんだ」


レイはそう言って壁に取付けられたレバーを下ろした。するとガコン!と勢い良く上から何かが降ってきた。


「キャぁぁ!何よこれ!」


「アハハ!有栖ったらいい反応するね」


有栖は降ってきた存在を見て悲鳴を上げレイは高笑いする。


その降ってきた者は全身に杭を打たれハリネズミの様にされた。


変わり果てたアダムの姿だった。


「ドッキリ大成功だね!さあ、このおじさんから女王について聞こうよ!」有栖はその場で嘔吐する。


アダムの顔は苦痛に歪んでおり息も絶え絶えだった。


有栖とアダムがそれぞれ絶望する中レイだけは子供の様にはしゃいでいた。

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