第一章
ひとつひとつの章は短くまとめてあります。
帰り道・・・(第一章)
まだ肌寒い三月初旬の出来事の事である。
若いOLは最終電車に乗り自宅の最寄り駅
で降りた。この月になるといつも忙しい、毎
日のように残業となり今日はとうとう最終電
車に乗る始末。女は着ていたコートを深く羽
織って駅を出て歩き始めた。
駅の周辺は誰一人といない。シャッターの
閉まった商店街を女のヒールの音だけが、コ
ンコンと響きわたる。商店街を抜けて少し大
きい道路に出たが車は一台も通っていない。
薄気味悪いくらい静かな夜、物音ひとつな
い。女は思った。
(いくら深夜っていったって静かすぎる)
時計は夜一時をまわっている。たしかに深夜
だが街頭以外明りはなく、住宅街は真っ暗な
闇に包まれていた。女は歩き続けた。
しばらくしてようやくひとつの明りが見え
た。道路に面したマンションの一階部分がコ
インランドリーになっている。
女はその明りに吸い寄せられるように歩き
はじめた。闇の中に光る明りに妙な安心感を
抱く。それは人間の本能なのかも知れない。
女はコインランドリーの前で立ち止まる。
そして店の中を覗いた・・・
「ぎゃあああああああああああ」
絶叫が辺り一面に響きわたる。店の中の
乾燥機が一台だけ稼働していた。中で男の
生首がゴロゴロと回転している。
女は後ろに仰け反る様に倒れた。異常な光
景に声は出ない。その時だ。
女の後ろを何かが横切った!
女は後ろを振り向く! だがそこには何もな
い。そして正面を向いたとき・・・
女の顔をじーっと覗き込む「何か」がいる。
真っ黒なマスクを被り黒いマントを来た
「何か」が。
尋常ではない光景。得体の知れない「何か」
に女はパニックになり走りだしていた。
第二章へ続く・・・
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