表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/146

復帰後初仕事 1

 矢上さんは一度会社に戻るとのことで、契約を終えてすぐに家を出る。


「今日はありがとうございました!仕事が決まりましたら随時、連絡させていただきます!」

「はい!復帰したばかりなので俺の仕事を探すのは大変かと思いますが、よろしくお願いします!」


 復帰にあたり、俺は夏目レンという名をフルに活用する方向となった。

 そのため、矢上さんには夏目レンが復帰したことを広めてもらい、復帰したことをネタに仕事を増やしてもらうようお願いした。

 もちろん、そのネタで仕事が山程もらえるとは思っていないので、矢上さんには苦労をかけることになるだろう。


「山程舞い込んで来そうな気はしますが分かりました。まずは夏目レン=夏目凛だということを世に知ってもらえる仕事を確保してきます」

「お願いします」


 俺との話を終えた矢上さんが車に乗り込み、車を走らせる。


「さて、あとは仕事がどれだけ来るかだなぁ。まぁ、こればかりは矢上さんと社長に頑張ってもらおう」


 そんなことを思いながら、俺は家の中へ戻った。




 翌日の4/2。


 俺は寧々とテレビを見ながら朝食を食べていると…


『えー、次のニュースです。昨日発売されたとある雑誌が、発売と同時に全ての店舗で売り切れるという現象が発生し、SNSで話題となりました。それがコチラの雑誌です』


 そう言ってアナウンサーが、俺が表紙を飾っている『読者モデル』をカメラに映す。


「おぉー!お兄ちゃんの『読モ』がテレビデビューしてるよ!」


 その様子を見て、寧々が食べる手を止めてテレビに集中する。


『理由としては表紙を飾っている男性、夏目凛さんにあるらしく、巷では『国宝級イケメン』との二つ名が早くも定着し始めております』


「はやすぎだろ……」

「お兄ちゃん、次の国宝級イケメンランキングの1位候補だからね!」

「次って何ヶ月後の話をしてるんだよ。まだ決まってもないのに定着したらダメだろ」


 そんなことを思う。


『また、巷では夏目凛さんのことを『リン様』と呼ぶ女性が多く、はやくも『リン様』との愛称で呼ばれております。今後、リン様の活躍に注目ですね』


「へー!お兄ちゃんのことを様付けして呼んでる人が多くいるのかー!これからは「お兄様」って呼ばないとダメかな!?」

「様付けされるほどの人間じゃないから辞めてくれ……」


 そんなことを話しながら、寧々と朝食をとった。




 その後、自分の部屋でダラダラ過ごしていると、突然スマホが鳴る。

 そのため急いでスマホを確認すると、矢上さんからの電話だった。


『お疲れ様です、凛さん。今お時間大丈夫でしょうか?』

『はい、大丈夫です』

『ありがとうございます。実はさっそくお仕事の依頼が入りました』


(はやすぎだろ。まだ『読モ』が発売されてから1日しか経ってないぞ)


 そんなことを思うが、仕事が舞い込んできたことは嬉しいことなので、気にせず話を進める。


『どのような仕事でしょうか?』

『はい。今回、凛さんに来た仕事は「おっしゃれ〜イズム」です』

『えっ!「おっしゃれ〜イズム」ですか!?』


「おっしゃれ〜イズム」という番組は、芸人である下田さんが主体となってゲストと話すトーク番組だ。


『はい!番組側から急遽代役が必要になったとのことで、凛さんに話がありました!トーク番組なので、凛さんが夏目レンであることも触れてくれると思います!代役ということで収録日が明後日となりますが、いかがでしょうか?』

『もちろんやります!』

『ありがとうございます!』


 俺は矢上さんの言葉を二つ返事で了承する。


『今回、ゲストとして共演される方が凛さんを強く希望されたので、凛さんへ代役の話が来ました!』

『へー、昨日発売の『読モ』で注目を集めたくらいで俺を選ぶなんて、変わった共演者ですね。その共演者って誰ですか?』

『愛甲真奈美さんです!』

『……真奈美かぁ』


 真奈美の名前を聞いて、微妙な反応をしてしまう。


『あれ?嬉しそうな反応ではないですね。昔、『マルモのおきてだよ』などのドラマで共演されましたよね?』

『そうなんですが……いえ、なんでもありません』

『……?よく分かりませんが、番組側には出演OKということを伝えます。詳しくは後ほどメールさせていただきますが、収録日時は明後日の10時となります。私が9時頃自宅まで迎えに行きますので、その予定でお願いします』

『ありがとうございます』


 そこで矢上さんとの電話を終了させる。


「ふぅ」


 さっそく仕事が決まったことに一先ず安堵する。


 しかし…


「真奈美かぁ。急に芸能界を引退したから怒ってるだろうなぁ」


 今では超有名な女優となっており、愛くるしい容姿と人を惹きつける演技力で、日本国民なら誰もが知っているほどの女優となっている。


 そして俺を指名してきたことから、俺が夏目レンであることは気づいているだろう。

 そんなことを思いつつ、俺はとある言葉を思い出す。


『一緒に芸能活動を頑張ろうね!』


 この言葉は真奈美が俺に言ってくれた言葉。

 きっと、その言葉を簡単に破った俺に、怒りを覚えているはずだ。


「これは出会ってすぐに謝らないといけないな」


 そんなことを思った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
うーむ 単純に空想、創作の世界と割り切れればいいんだが、どうしても実在の人物の顔が浮かんでしまう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ