桃ちゃん姉妹の会議
〜雨宮桃華視点〜
夏目様を自宅まで送った私と美柑は私の部屋に集まり、夏目様の話題で盛り上がる。
「お姉ちゃん。リン様とのイチャイチャはどうだったー?」
「そうですね。控えめに言って最高でした」
私は夏目様との数々のイチャイチャを思い出しながら呟く。
「美柑がサポートしてくれたおかげです。ありがとうございました」
「気にしなくていいよ!ウチ、お姉ちゃんの恋を応援してるからね!」
今回、夏目様と様々なゲームを行ったが、全て私が1位で美柑が2位、そして夏目様が最下位だった。
毎回この順位にできた理由は、私を1位にして夏目様を最下位にするために美柑が手厚いサポートをしてくれたから。
もちろん、美柑におんぶに抱っこというわけにもいかないので、私自身の実力で1位を勝ち取ったところもある。
「それにしても、よくこんな方法を思いつきましたね」
「ふふん!ウチ、こういう事を考える天才だからね!」
美柑が提案したのは『罰ゲームという名のイチャイチャ大作戦』という方法。
作戦名通り、罰ゲームの内容をイチャイチャ系のものにして、夏目様とイチャイチャするという方法だ。
「この作戦だと色んなイチャイチャができるからね!」
美柑の言う通り、この作戦の良いところは色んなイチャイチャができる点だ。
例えば私が夏目様へのお礼を『お姫様抱っこ』と言えば、夏目様からお姫様抱っこをしてもらうだけで終わってしまうが、この作戦なら夏目様が最下位になった回数だけイチャイチャできる。
この方法を提案した美柑を盛大に褒めてあげたい。
「今回のゲームで夏目様からしていただきたいことの1/100くらいは達成できました」
「あ、まだ1/100しか達成できてないんだ」
美柑が呆れながらツッコむ。
「もちろんです。夫婦になってから夏目様とやりたいこともありますので」
「子作りとか?」
「こっ、子作り……」
どストレートに美柑が言ってきたので、私は顔を真っ赤にしてしまう。
なぜなら、夏目様との愛の結晶である子供は欲しいと思っていたから。
「あれー?顔が真っ赤だけど図星かなー?」
そんな私にニヤニヤしながら美柑が詰め寄ってくる。
「こ、この話は終わりです!」
私は声を荒げて無理やり話を中断させる。
「そ、それよりも、私は美柑が夏目様に惚れてないかが心配です。私と一緒に夏目様へ色んなアピールをしてましたから」
私が夏目様へアプローチしやすいように美柑も夏目様へアプローチしただけだとは思うが、美柑も私と同じように大きな胸を使って夏目様に迫っていた。
そんなことをするということは、多少なりとも夏目様に好意を抱いているということになる。
「美柑は夏目様のことが好きなのですか?」
そのため、私はドキドキしながら美柑へ問いかける。
すると、意味深な笑みを浮かべながら口を開く。
「リン様から襲われたら抵抗せずに受け入れちゃうくらいにはリン様のことが好きかなー」
「なっ!私と同じくらい好きじゃないですか!」
「へー、お姉ちゃんはリン様が獣のように襲ってきたら抵抗せずにエッチしちゃうんだー」
「っ!」
まさかの切り替えしに私は顔を真っ赤にする。
「そ、それは……」
顔から火が出るくらい真っ赤になった顔で弁明しようとするが、夏目様から襲われたら絶対抵抗しない自信があるため、弁明できない。
「あははっ!顔真っ赤だよ!」
「み、美柑っ!」
私は“ポカポカ”と美柑の身体を叩く。
ひとしきり美柑を叩き終えた私は「こほんっ!」と咳払いを挟む。
「そ、それで……夏目様から襲われたら抵抗しないという言葉は本心で言ってるのですか?」
私は話を戻して美柑に問いかける。
「そこは安心して。しっかり抵抗してたから」
その言葉に私は“ホッ”と息をつく。
「でもリン様とは今以上に仲良くなりたいと思ってるよ」
「えっ!?」
私は美柑の言葉に声をあげる。
嫌な感情を抱いている人にそのような発言はしないため、美柑が多少なりとも夏目様に好意を抱いているのは間違いない。
「あ、でも好きってわけじゃないから安心して!」
私の驚きようから、美柑がすぐに付け加える。
その言葉に安心しつつも私は口を開く。
「つまり美柑は好きかは分からないけど仲良くなりたいと思ってるわけですね」
「そうだねー」
(なるほど……これは美柑の気持ちがいずれ恋心になる可能性はありますね。ただでさえ愛甲さんと小鳥遊さんという強力なライバルがいるのに……)
夏目様はカッコ良いので他にもライバルはいると思うが、私の中ではあの2人が要注意人物となっている。
それに加え、私よりも可愛いくて私と同じくらいスタイルの良い美柑までライバルになれば、私の勝ち目が薄くなってしまう。
(美柑が夏目様のことを好きになった時、私はどうするのでしょうか?)
そう思い、その時のことを考える。
(……ふふっ、姉妹で夏目様を取り合うのも面白いですね)
ゲーム開始前、私と美柑に迫られてあたふたしている夏目様を思い浮かべて笑みが溢れてしまう。
「美柑の気持ちは良く分かりました。これから夏目様のことが好きになるかもしれないということを」
「そんなこと言ってないよ!?」
私の発言に美柑が声をあげて否定するが、私はクスッと笑う。
「夏目様は魅力的な男性ですからね。美柑が惚れてしまうのも仕方ありません」
「ウチの話を聞いて!そんなこと一言も言ってないんだけど!」
美柑がワイワイ言っているが、私は伝えたいことを美柑に伝える。
「もし夏目様を美柑が好きになっても私は怒ったりしませんから。その時は私と一緒に夏目様をメロメロにしましょうね」
そう言って美柑に微笑む。
「余裕だね、お姉ちゃん」
「もちろんです。私は9年間も夏目様を想ってきましたから。たとえ美柑が夏目様のことを好きになっても、敵ではありませんので」
9年という長い期間、夏目様だけを想い続けてきた私は堂々と答える。
「へー、そんなこと言うんだ。ならウチも本気でリン様を堕としに行こうかなー。もしかしたら好きになるかもしれないし」
「あ、待ってください。好きか分からないとか言っている間はアプローチ禁止ですよ」
「そんことないと思うよ?好きだと気づいた時からアプローチするより堕とせる確率が上がるからね。だから事前にリン様の気を引くのことは大事だと思うなー」
「え、えーっと……っ!ダ、ダメなものはダメです!美柑は夏目様へのアプローチ禁止です!」
「全然余裕ないじゃん」
そんな会話をしながら、夜遅くまで夏目様の話題で盛り上がった。
【4章完結】