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桃ちゃん家へ 6

「じゃあ、さっそく始めよー!」


 美柑さんの声かけで罰ゲーム付きのゲームが始まる。


「まずはトランプをするよ!」


 とのことで、俺たちはトランプで遊ぶため、床に腰掛ける。


「何をするんだ?」

「そうですね。ババ抜きはいかがでしょうか?」

「お、いいね」


 異論はないので、俺は素直に頷く。


「じゃあウチが配るね」


 俺の返答を聞いて美柑さんがトランプを配り始める。

 そして配り終えたトランプを受け取り、カードを整頓している時…


「美柑、サポートをお願いしますね」

「任せて、お姉ちゃん。ウチが完璧なアシストをするから」


 と、2人が何かを話している声が聞こえた。


「……どうした?」

「ううん!気にしなくていいよ!」

「……?」


 何やら怪しい気配を感じたが、コソコソ話しているだけで疑うのも悪いため、気にせずババ抜きに集中する。


(手持ちにジョーカーを持ってることを悟らせるわけにはいかないな)


 残念なことにババ抜き開始時点でジョーカーを手に入れてしまった。


「えーっと、じゃあ時計回りに手札を取っていこうか」


 時計回りに取るとのことで、俺が桃ちゃんの手札を取り、桃ちゃんが美柑さんの手札を、美柑さんが俺の手札を取る順番でババ抜きが開始する。


「あ、揃いました!」

「ウチもー!」


 最初はみんな順調に手札を減らしていく。

 俺も2人と同じように順調に手札を減らすが…


(おかしい。美柑さんが全然ジョーカーを引いてくれないぞ)


 何故か美柑さんがジョーカーを引いてくれない。

 そんな中、「あがりました!」との声が聞こえてくる。


「あー、一位はお姉ちゃんかぁ」

「そ、そのようだな」


 桃ちゃんがあがったことで、俺と美柑さんだけが残される。

 残りの枚数は俺が2枚で美柑さんが1枚。

 そして今から美柑さんが俺の手札を引く。


 美柑さんが俺の持っているジョーカーを引けば俺にも勝つチャンスが巡ってくるが…


「これだっ!」

「あーっ!」


 残念ながら美柑さんがジョーカーを引かず、あがってしまう。


「はい!リン様が罰ゲームね!」

「嘘だろ。一回も美柑さんがジョーカーを引かなかったんだが。俺、駆け引き下手だなぁ」

「ウチを騙そうなんて100年早いからね!あ、言っとくけど、書かれている罰ゲームは絶対だよー!」

「もちろんだ。罰ゲームを放り出す男はカッコ悪いからな」


 俺は美柑さんの言葉に堂々と答え、用意された箱に手を入れる。

 そして1枚の紙を取り出す。


 そこには…


『1位の人に5分間膝枕をしながら頭を撫でる』


 と書かれていた。


「……なんだ?この罰ゲームは?」

「一位の人に膝枕と頭ナデナデだね」

「いや、書いてる文字が読めなかったわけじゃないから」


 俺はボソッと美柑さんにツッコミを入れる。


「この罰ゲームはさすがに無理だろ」

「あれー?そんなこと言っていいのかなー?」


 俺の言葉に美柑さんがニコニコしながら言ってくる。


「さっきカッコいいこと言ってたよねー?」

「うっ……」


 紙を引く前にどんな罰ゲームでも受けることを堂々と宣言をしてしまった。


(桃ちゃんに嫌がられたら泣く自信があるんだが……ここはやるしかないっ!)


 俺は腹を括り、その場で正座をする。

 そして桃ちゃんを手招きして自分の太ももを“ポンポン”と叩く。


「ど、どうぞ」

「はいっ!」


 嬉しそうに答えた桃ちゃんが、俺の太ももに頭を乗せる。


「ど、どうだ?」

「ふぁぁ〜。夏目様から膝枕、最高です」


 蕩け切った顔の桃ちゃんが嬉しそうな声で呟く。


「そ、そうか」


 嫌がられていないことに一安心しながら、俺は桃ちゃんの綺麗な黒髪を触る。

 そして優しく頭を撫でる。


「これくらいの力加減でいいか?」

「はい。ものすごく気持ち良いです」


 気持ちよさそうな声で言いながら、桃ちゃんが目を細める。


「お姉ちゃん、だらしない顔になってるよ……って聞いてないや」


 俺に撫でられるのが気持ち良いのか、俺の太ももの上で幸せそうな顔をしている桃ちゃん。

 そんな桃ちゃんを見て俺の頬が緩む。


(普段はビシッとしてるから、無防備な桃ちゃんがすごく可愛いく見えるぞ)


 そんなことを思いながら、俺は桃ちゃんの頭を撫で続けた。

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