桃ちゃん家へ 5
「大丈夫だよ！リン様の身体があればできるお礼だから！」
そう言って美柑さんがニヤリと笑う。
「俺の身体があればできるお礼？」
そう言われても全くピンと来ない。
（男手が必要な肉体労働とか？）
そんなことを思いながら美柑さんの言葉を待つ。
「一体、何を考えているのですか？」
そんな中、桃ちゃんがジト目で美柑さんを見る。
すると美柑さんが桃ちゃんを手招きして耳元で何かを話す。
「さ、さすが美柑です！天才的なアイデアですよ！」
「ふふんっ！」
桃ちゃんに褒められた美柑さんが豊満な胸を張る。
「ということで時間がほしいから、リン様はお風呂に入ってきていいよ！」
「……え？」
「そうですね！雨宮家のお風呂は温泉ですから気持ちいいですよ！」
そう言って桃ちゃんと美柑さんが俺の手を取る。
「ちょっ！俺、着替えなんて持ってないんだけど！」
「大丈夫です！執事さんに買って来てもらいますから！」
「それと寧々さんには遅くなるって連絡しといてね！」
「えぇーっ！」
俺は2人の手を振り払うことができず、桃ちゃん家でお風呂をいただくこととなった。
寧々に遅くなることを連絡し、バカみたいに広いお風呂を1人で満喫すること30分。
俺はメイドさんに案内された部屋へと向かい、ノックして部屋に入る。
「お風呂ありがと」
「いえいえ」
そして部屋の中にいた桃ちゃんと美柑さんに感謝を伝える。
すると、違和感に気がつく。
「……あれ？2人ともお風呂に入ったのか？」
「はい。夏目様が入られた時に私たちもお風呂に入りました」
入浴前と違い、2人とも可愛らしいパジャマに着替えており、頬が上気している。
それに伴い、2人から色っぽさを感じてしまう。
（なぜか入浴後の女の子って色っぽく見えるよな。しかも着てるパジャマの露出度が高いし）
今の2人は胸元にリボンの付いたフリル付きのパジャマを着ており、胸元が大胆に開きすぎて胸の谷間があらわになっている。
そのため、自然と2人の巨乳へと目が吸い寄せられてしまい、2人のことを直視できず目を逸らす。
ちなみに桃ちゃんが桃色のパジャマを、美柑さんがオレンジ色のパジャマを着ていた。
「どうどう？ウチら姉妹のパジャマ姿は？」
2人から目を逸らした俺を見て、美柑さんが揶揄うように距離を詰める。
「私たち、スタイルには自信があるんですよ」
そう言って桃ちゃんも俺を揶揄うように距離を詰める。
そして詰めると同時に、大胆に開いた胸元を強調するような体勢をする。
（やめてっ！童貞の俺には刺激が強すぎるからっ！）
シミ一つない綺麗な胸元が両側から迫ってきたため、俺は理性をフル稼働させる。
「そ、そうだな。2人ともとても可愛いよ」
理性で無理やり2人の巨乳から視線を逸らし、2人の身体を見ずに返答する。
「ふふっ、顔が真っ赤ですよ」
「ウチらの身体にメロメロだね！」
そんな俺を見て2人が楽しそうに笑う。
（マズイっ！この状況は色々とマズイぞっ！）
現在の俺たちは誰もいない密室空間に3人でいる。
（手を出したりはしないが……この状況はアウトだと思う！）
俺たちしかいないシチュエーションに加え、襲ってくださいと言わんばかりに巨乳を強調しながら距離を詰めてくる。
そんな2人からのえっちぃ攻撃に俺はあたふたしてしまう。
「そ、そういえば、お礼の内容は決まったのか？」
そのため、顔の赤みやあたふたしているところを誤魔化すように俺は声を上げる。
「あ、はい。決まりましたよ」
「さっきはその準備をしてたんだ！」
そう言ってようやく俺から離れた2人が近くにあるテーブルへ移動する。
「リン様にしてもらいたいお礼は……じゃーんっ！ゲームを一緒にしてもらうことだよ！」
美柑さんがそう言ってテーブルの上を見せると、ジェンガやトランプ、UNOなどのボードゲームやカードゲームが準備されていた。
「え、そんなのがお礼でいいのか？」
「はい。私たちは夏目様とゲームがしたいです」
「罰ゲーム付きのね！」
「罰ゲーム付きだと？」
嫌な予感しかしないが、お礼と言われれば断ることはできない。
「うん！あ、罰ゲームの内容も決めてるから！」
そう言って美柑さんが一つの箱を持ってくる。
「この箱の中に罰ゲームの内容が書かれた紙が入ってるから、一枚引いて書かれていた内容を絶対してもらうよ！」
「へー、本格的だな」
俺は美柑さんが持っている箱を見ながら思う。
しっかりと箱の中が見えないようになっており、一箇所だけ穴が空いている。
くじ引きのように箱の中にある紙を取っていくようだ。
「どんな内容が書かれてるんだ？」
「ふふっ、秘密です」
桃ちゃんが口元に人差し指を当て、ウインクをする。
「っ！」
（このタイミングでその表情は反則だろ……）
桃ちゃんの表情に心臓が跳ね、詳しく聞くタイミングを逃してしまう。
「じゃあ、さっそく始めよー！」
美柑さんの声かけで罰ゲーム付きのゲームが始まった。
