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『読者モデル』の発売 1

【2章開始】


 俺は芸能界に復帰することを決意する。

 しかし、復帰を決意したからといって、簡単に復帰できる世界ではない。


 そのことを寧々に伝えると…


「今は動かなくていいよ!明日発売の『読モ』が売れれば、内山社長からお兄ちゃんにデビューをお願いしてくるはずだから!」


 と言って部屋に戻ってしまった。


「軍師寧々がそう言うなら待つか。どうせ、「復帰させてください」って矢上さんに連絡しても、復帰なんかさせてもらえないからな」


 そう思い、俺は寧々の言う通り大人しく過ごすことにした。




 翌朝の4/1。

 俺が表紙を飾っている『読モ』の発売日となる。


「ふぁ〜」


 朝の10時ごろに目が覚めた俺は、欠伸をしながらリビングへ向かう。


 そして「おはよー」と言いながらリビングに入ると…


「お兄ちゃん!すごいことが起こってるよ!」


 リビングへ入室した瞬間、俺のもとに寧々が駆け寄ってきた。


「ど、どうした?」

「見て!コレ!お兄ちゃんの名前がトレンド1位になってるよ!」


 そう言って、寧々が俺にスマホを見せる。


「俺の名前がトレンド1位?なんの冗談………ってマジやん!」


 寧々が見せてくれたスマホからトレンドを見てみると、『夏目凛』というワードがトレンド1位だった。


「ど、同姓同名ってことは………」

「そんなことあるわけないでしょ!トレンドの上位はお兄ちゃんが表紙を飾った『読モ』関連のことばかりだよ!これでお兄ちゃんのことじゃなかったら、逆に怖いよ!」


 その言葉通り、『読者モデル 表紙』や、表紙に書かれていた『超絶イケメン 夏目凛』等、俺が表紙を飾った『読者モデル』に関連するワードが軒並み上位にある。


「な、なんで俺がトレンド1位なんだ?」

「それは、お兄ちゃんが表紙を飾ってる『読モ』が10時の時点で売り切れ続出だからだよ!」

「はぁ!?まだ10時だぞ!?」


 コンビニが0時に発売したとしても10時間で売り切れ続出の事態。

 発行部数の数は知らないが、異常事態が起きていることは理解できる。


「もうネットはすごいことになってるんだよ!お兄ちゃんが表紙の『読モ』を手に入れた人たちが、手に入らなかった人たちに自慢して大炎上!しかも炎上してるところに油を注ぎまくる人が多すぎて、鎮火しそうにないくらいだよ!」

「みんな暇人かよ」


 どうやら俺の名前がトレンド1位にある理由はコレのようだ。


「俺がトレンド1位にいる理由は分かった。でも、なんで俺が表紙の『読モ』が売り切れ続出してんだ?」

「お兄ちゃんがカッコいいからだね!」

「………マジで?」

「うん!ほら見て見て!」


 そう言われて、俺は再び寧々のスマホを見る。


〈夏目凛、カッコ良すぎ!〉

〈私、夏目凛くんに一目惚れしちゃった!一目見ただけでファンになっちゃったよ!〉

〈凛くんイケメンすぎっ!『読モ』買えなかったのめっちゃ悔しいよーっ!〉

〈凛くんの表紙を眺め始めて3時間経ってるけど全然飽きない!それくらいのイケメンだよ!〉


 そんなコメントがたくさん書かれており、どれも俺の容姿を褒め称える内容だった。


「めっちゃ褒めてくれるやん。自分でも髪を切ってからカッコ良くなったとは思ってるが……そんなに俺ってカッコいいのか?」

「うん!お兄ちゃんは表紙に書かれている通り、超絶イケメンだよ!多分……というか、次に行われる国宝級イケメンランキングで1位を取るんじゃないかな!?」

「そんなに!?」

「言っとくけど、お世辞じゃないからね!」


 どうやらマジで俺は超絶イケメンらしい。


「超絶イケメンという自覚はないが、コメントを見る限り俺は超絶イケメンで、俺のおかげで『読モ』が売り切れ続出になったらしいな」


 実感は全くないが。


「『読モ』が発売されたらお兄ちゃんのことが話題になるとは思ってたよ!ここまで話題になるとは思わなかったけどね!」

「でも、これだけ話題になれば俺の芸能界復帰は難しくなさそうだな」


 そんな話をしていると、俺のスマホが鳴る。

 そのため、すぐにスマホを確認すると『矢上鈴香』の文字が表示されていた。


「矢上さんから電話だね!絶対、ウチの事務所でデビューしてくださいって内容だよ!」

「そうだといいな」


 そう思いながら、俺は電話に出た。

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