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雨宮桃華との仕事 1

 雨宮さんとの撮影現場に到着する。


「よろしくお願いします!」


 俺はスタッフたちに挨拶をしながら撮影現場に入る。

 そして俺が所属する事務所の社長で、今回の撮影の現場監督となる内山社長へ挨拶をする。


「お久しぶりです。内山社長」

「あぁ、久しぶりだな、凛くん」


 ファンクラブのサイトを作って以来、数週間ぶりに見た社長は、目の下にクマができており、疲れた表情をしていた。


「あの、疲れてるように見えますが大丈夫ですか?」

「あぁ、これくらいは問題ない。凛くんのおかげで寝ずに働いてるだけだ」

「問題しかないと思います!」


 どうやら原因は俺にあるようだ。


「な、何かあったのですか?」

「いや、大したことないぞ。昨日、『リン様って夏目レン様だったんですか!?』という電話の対応を1000件くらいした後に、凛くんへ来た大量のオファーを整理してただけだ」

「………なんかすみません」


 あとで缶コーヒーでも買おうと心に決める。

 そんなことを思っていると、「よろしくお願いします」という声が響き渡った。


「お、来たな」


 社長の言葉を聞き、俺も声のした方を向く。

 すると、人気モデルの雨宮桃華さんがいた。


 黒髪を腰まで伸ばしており、タレ目と真奈美よりも大きい巨乳が特徴的な美女。

 着飾らなくても魅力的な雨宮さんが今日は胸元が大胆に開いた黒のワンピースを着ているため、綺麗な脚や胸元に視線が吸い寄せられる。


「今日はよろしくお願いします」


 雨宮さんのスタイルに見惚れていると、綺麗な姿勢で社長に頭を下げる。


「あぁ。よろしく。それと今日は引き受けてくれてありがとう」

「いえ。私、夏目様に興味がありましたので」


 そう言って雨宮さんが俺を見る。


「雨宮桃華と申します。今日は夏目様との撮影、とても楽しみにしておりました」


 雨宮さんが妖艶な笑みを浮かべて自己紹介をする。

 露出度が高いため余計に色気を感じてしまい、俺の心臓が“ドキっ”と跳ねる。


「な、夏目凛と言います。今日はよろしくお願いします」


 できるだけ雨宮さんの身体を見ないように俺は挨拶をする。

 そのタイミングで、社長が口を開く。


「そういえば2人は同じ大学らしいな」

「はい、そうなんですよ。俺も驚きました」


 俺は社長の発言を肯定するが、雨宮さんからの同意がない。

 そのため雨宮さんを見ると、何故か固まっていた。


「………え?そうなのですか?」

「はい。そうらしいですよ」

「………ちょっと席を外してもよろしいでしょうか?確認したいことと小休憩を挟みたいので」

「……?分かりました」


 俺は不思議に思いながらも、俺たちのもとから立ち去る雨宮さんの背中を見続けた。




〜雨宮桃華視点〜


 私は夏目様から離れ、スマホを取り出す。

 そして一つ年下の妹である雨宮美柑に電話をかける。


『もしもしー!お姉ちゃん!リン様はどーだった!?』

『………カッコ良すぎて死にそうです』

『えぇ……まだ収録現場に到着しただけでしょ……』


 美柑が呆れながら呟く。


『カッコ良すぎて撮影どころではありません!3分間同じ場所にいたら1時間は距離を取る必要があります!』

『堂々と言われても困るんだけど……』


 先程、私は夏目様と簡単に自己紹介を行ったが、夏目様がカッコ良すぎて心臓の鼓動がうるさく、いつ倒れてもおかしくない状態だった。


『リン様と会うために仕事を引き受けたんだよね?』

『と、当然です!夏目様にお会いできる日をどれだけ待ち望んでいたか!』


 私は自分の想いを口にする。


『はぁ。ならウチと電話してる場合じゃないと思うけど?』

『うぅ……その通りです……』


 妹の指摘にぐうの音もでない私だった。

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