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ファンクラブ開設

【3章開始】


 『おっしゃれ〜イズム』の収録が終わり、春休みが終了する。


「えぇ……春休みが終わったんだけど……」

「いつまで言ってるの!今日は大学の入学式でしょ!」


 スーツに身を包んだ寧々が俺に言う。


 俺と寧々は同じ大学に合格し、今日から晴れて大学生となる。

 ちなみに、寧々はトップクラスの成績で合格し、俺はギリギリの成績で合格した。

 寧々を待たせるわけにはいかない俺は、すぐにスーツを着て寧々と一緒に家を出た。




 歩いて大学まで向かう。


「なぁ、帽子にマスク、サングラスってしなきゃダメか?」

「ダメ!お兄ちゃんが夏目凛ってバレたら大学に辿り着けなくなるから!」


 とのことで、俺は今、絶賛怪しい人となっている。


「そう簡単にバレないと思うぞ?だって、俺はまだTVデビューしてないからな」


 そう伝えると、寧々が「はぁ」とため息をつく。


「お兄ちゃんは普段からSNSをやってないからそんなことが言えるんだよ。見て、これ」


 そう言って寧々が俺にスマホを見せてくる。


「それは俺のファンクラブだな」


 そこには昨日開設された俺のファンクラブが映っていた。


「うん。これは昨日、内山社長と矢上さんが作ったお兄ちゃんのファンクラブだよ」


 昨日、丸一日費やして俺たちは俺のファンクラブを作った。


「へー、よくできてるな。昨日撮った俺の写真まで載ってるぞ」


 内山社長たちが作ったファンクラブのサイトは完成度が高く、素晴らしいものが出来上がっていた。


「それがどうしたんだ?」

「お兄ちゃん、この数字をよーく見て」


 そう言われ、寧々が指差した数字を見てみる。


「えーっと……会員数100万人!?」


 そこにはあり得ない数字が映っていた。


「そうだよ。これは昨日開設されたお兄ちゃんのファンクラブ。1日経たずに100万人も会員になってるんだ」

「えぇ……」


 多すぎて言葉を失う。


「ちなみに私の会員No.は一桁!どう!すごいでしょ!」

「すごいすごーい」

「もっと喜んでよ!」


 妹の会員No.よりも100万人超えてることの方がビックニュースだ。


「な、なぜ?」

「そりゃ、お兄ちゃんがカッコいいからだよ!みんなお兄ちゃんのルックスに惹かれて会員になってるからね!」

「まだ夏目レンだって世間に広まってないのに……」


 そんなことを思うが、この数は嬉しい誤算だ。

 50万人いけばいいかなーくらいの感じで始めたファンクラブだったので、たくさんの方から応援されていることが分かり、嬉しく思う。


「つまり、お兄ちゃんは簡単に素顔を晒していいってわけじゃないんだよ!晒した瞬間、身動きが取れなくなるから!」

「そ、それは流石に言い過ぎだと思うぞ。精々、声をかけられて挨拶するだけだろ」

「そんなわけないでしょ……」


 俺の発言に寧々が呆れながら言う。


「絶対、『応援してます!』とかで終わるわけないよ。しかも声をかけてくる人は1人2人とかじゃないから」


 そう言われ、女性スタッフたちに囲まれた『おっしゃれ〜イズム』の収録終わりを思い出す。


「た、確かに……」

「あ、もう経験があるんだ。だから、街中では帽子とマスク、サングラスは外さない方がいいよ」

「わ、わかった」


 そんな話をしながら大学を目指した。

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