『生徒会長は告らせたい』の放送 1
「つ、疲れた……」
浜崎さんオススメの喫茶店から帰宅した俺はベッドに倒れ込む。
「ドラマの撮影よりも撮影以外の方が疲れたぞ……」
浜崎さんが絡んだおかげで大変な事態ばかり引き起こされた。
さっきの喫茶店では……
『夏目さん!味変にウチのフルーツパフェを一口どうですか!?あ、間接キスは気にしませんから!はい、あーんです!』
『待って!凛くんはイチゴパフェを食べてるから同じパフェじゃなくて私のクレープを食べるべきだよ!というわけで……はい!あーんだよ!』
『そ、それを言うなら凛は甘いものを食べてるんだから私のサンドイッチを食べるべきだと思うわ!だから……は、はやく口を開けなさいよ!……って、べ、別に凛に私のサンドイッチを食べてほしいとかじゃないんだからね!』
とか、色々と大変な目に遭った。
「何故2人が浜崎さんに対抗してるかは分からんが……仲が良い証拠なのかな?」
そんなことを思いつつメッセージ画面を開く。
そこには喫茶店で連絡先を交換した浜崎さんと立花さんからメッセージが届いていた。
「連絡先を交換するだけでも一苦労だし。特に立花さんとの交換は……」
浜崎さんとの連絡先の交換はスムーズにできたが、立花さんとの連絡先の交換は大変だった。
なぜなら…
『ねぇ。私と凛は友達なのよね?なのに今日出会ったばかりの涼菜とは連絡先を交換して私たちは交換してないっておかしいと思わない?』
『……そういえばそうだな。じゃあ良い機会だし連絡先を交換するか』
『っ!そ、そうね!凛がどうしてもって言うなら仕方なく交換してあげるわ!』
『えー、仕方なくとか言うくらいなら交換しなくてもいいと思いますよー?夏目さんも嫌々交換されるのは嫌だと思いますので。そうですよね?夏目さん?』
『えっ!えーっと……』
『ちょっと!私は凛との連絡先の交換が嫌とは言ってないわよ!』
『えー、本当ですかー?ウチの耳には嫌々交換するように聞こえましたけど』
『~~っ!後輩のくせにっ!』
等々、何故か連絡先を交換するだけで立花さんと浜崎さんがバチバチやり合っていた。
「同じ女優なんだから仲良くしてほしいんだけどなぁ」
そんなことを思いつつ2人に返信をした俺は、そのままSNSを開く。
「明日、第1話が放送されることを宣伝しろって監督から言われてたからな」
ついに明日、『生徒会長は告らせたい』の1話が放送される。
そのためSNSで一言宣伝を行い、寧々のいるリビングへ向かった。
放送日となる。
「もうすぐで放送だね!」
「あぁ。どんなドラマになってるか楽しみだ」
まだ全ての撮影が終わったわけではないが、順調に撮影が進んでいるため、最終話放送までには余裕で撮影が終わる。
「SNSでの反応はどうだ?」
「うんっ!すっごく盛り上がってるよ!」
そう言って寧々がスマホを見せてくれる。
〈リン様が出演するドラマが今日放送されるって!〉
〈リアルタイムで視聴しないリン様ファンとかいないよね!?〉
〈昔、小学5年生で優秀主演男優賞を受賞した夏目レンの復帰作だ。すごく楽しみだな〉
〈原作漫画のドラマ化は失敗するケースが多いけど監督は森野さんだ。期待しかない〉
等々、1話放送前から盛り上がってる。
「お父さんは仕事で観れないから録画しててって言われたよ」
「それならバッチリだ。それと母さんの写真も持ってきてるぞ」
俺の演技を見るのが楽しみと言っていた母さんにも見せてやりたいと思い、ベストポジションに母さんの写真を置く。
そんな会話をしながら放送開始時刻まで寧々と時間を潰した。




