(7)
家に帰ると、静かな部屋の中でひとり過ごすことが、なぜか心地よく感じられた。佐藤は疲れた体をベッドに横たえ、部屋の薄暗い光に包まれながら、あの日の出来事を思い返していた。
目を閉じると、あの夜の記憶が鮮やかに蘇る。リーが全裸でコートを肩から落とし、彼に近づいてきた瞬間の情景が、まるで眼前に映し出されるかのようにリアルだった。彼女の肌の柔らかさ、震える体のライン、そしてその瞳に宿る不安と欲望が、今もなお深く心に刻まれている。
リーが彼に手を伸ばし、途方に暮れた表情で自分を見つめながら言った言葉が、耳の奥で囁かれる。彼女の声が、息を呑むほどにセクシーでありながらも、どこか切羽詰まった感じが漂っていた。その無防備な姿と無垢な表情が、佐藤の内面に渦巻く欲望を呼び覚まし、彼の心臓を激しく打たせる。
ベッドの中で身を縮めながら、佐藤はそのときの情景を手繰り寄せ、リーの官能的な姿を思い描いた。彼女がどのように彼に引き寄せられ、身体の温もりがどのように彼を包み込んでいたかを想像するだけで、彼の体は反応し始めた。暗闇の中で、彼女の触れ合いの感触や、彼女の呼吸が彼の肌に当たるような感覚が、脳裏に浮かんでくる。
しかし、彼の想像の中でリーは、いまや遠い存在でしかなく、現実の彼女とはまるで隔たった世界にいるかのように感じられた。彼の指は無意識のうちにベッドのシーツを掴み、息が荒くなるのを感じながらも、その思い出に溺れていく。
静かな部屋の中で、彼の心はあの日の出来事に引き戻され、体はその熱を感じながらも、現実に引き戻されることを拒んでいた。リラックスした体が、次第に深い眠りに落ちていく中で、リーとのあの日の出来事は、彼の心に残る刺激的な余韻として、静かに静まり返っていった。




