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明影  作者: kazoo
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(30)

中村の「好きです」という告白に、佐藤は一瞬言葉を失った。彼女の真剣な表情と、少し赤くなった顔を見つめると、胸がざわつく。だが、その場で何を言えばいいのか分からない佐藤は、少し困ったように笑い、「今日は少し飲みすぎているよ」と軽くいなすように言った。中村はその言葉に気まずそうに笑い返し、それ以上話を続けることなく、二人は店を後にした。


翌日、佐藤はオフィスで中村に会ったが、どこかぎこちない雰囲気が漂っていた。お互いに目を合わせることが少なく、会話も必要最低限のものに留まっている。中村も、佐藤の反応に戸惑いを感じたのか、やや遠慮がちな態度を見せていた。二人の間には微妙な距離感が生まれていた。


日々の業務は相変わらず忙しく、プロジェクトの進行やクライアントとの打ち合わせに追われる中で、佐藤と中村も自然とその告白のことを口に出さなくなっていった。仕事に集中することで、お互いに気まずさを紛らわしていたのかもしれない。時折、視線が交わると、お互いに軽く笑ってその場を流す。


時間が経つにつれ、二人は以前と同じように話すことができるようになっていた。しかし、どこか心の中に引っかかるものを感じながらも、その感情を深く考えることは避けていた。中村の告白を無視しているわけではないが、どう対応すればいいのか分からない佐藤にとって、時間が解決してくれることを期待している部分もあった。


中村も、佐藤が自分の気持ちにどう応えてくれるのか分からないまま、日常に埋没していった。気まずさが薄れていく中で、告白のことが過去の出来事として記憶の片隅に追いやられていくような感覚を覚えていた。このまま何もなかったかのように時間が過ぎていくのか、それとも再びその感情が表面化するのか、二人の間には曖昧な空気が漂い続けていた。

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