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明影  作者: kazoo
28/40

(28)

しばらくして、佐藤と中村、杉本夫婦の四人は山道を登っていた。天気もよく、秋の澄んだ空気が心地よく、絶好の登山日和だ。


「まさか自分がこんなに本格的な登山をするなんて思ってもいませんでした」と中村は笑いながら、杉本に話しかけた。「でも、やっぱり慣れた人にアドバイスをもらったほうが安心ですから。佐藤さんには道具選びに付き合ってもらいました。」


「そうだったんですね。佐藤さん、優しいですね」杉本は微笑んで応じた。


佐藤は少し照れくさそうに、「まあ、登山は道具が命ですからね。しっかり準備しておけば安心ですよ」と答える。


「中村さん、最初は何を買えばいいのかわからなくて、かなり迷ってましたよね。登山靴選びだけで、三軒もお店を回りましたし」佐藤は笑いながら振り返った。


「だって、足に合わない靴で登ると大変だって言ったのは佐藤さんじゃないですか」中村は少し膨れた表情を見せたが、すぐに笑顔に戻った。「でも、おかげで快適に歩けてます。ありがとうございます。」


「それはよかったです。無理せず、楽しく登るのが一番ですから」佐藤は安心したように頷いた。


その様子を見て、後ろで歩いていた杉本の奥さんもにこにこと微笑んでいた。「若い人たちと一緒に登ると元気が出ますね。こうしてみんなで楽しく登れるのは嬉しいです」


和気あいあいとした雰囲気の中、四人はゆっくりと山を登っていった。自然の中での会話が弾み、普段の仕事のストレスも忘れて、ただ楽しさだけが広がっていた。


しばらくして、佐藤はふと中村の姿に目を向けた。中村は新しい登山靴で足取りも軽やかに、嬉しそうに周囲の風景を見渡している。その表情には、初めての登山を心から楽しんでいる様子が表れていた。


「中村さん、楽しんでますね」と佐藤は、自然と微笑みながらつぶやいた。彼女の楽しそうな姿を見ていると、なんとも言えない愛しさを感じた。普段の真面目な顔とは違って、目を輝かせている中村の姿は、どこか無邪気でかわいらしい。


「ええ、すごく楽しいです!」中村は元気よく返事をし、その目はキラキラと輝いていた。「こんなに自然を感じるのは初めてです。ありがとうございます、佐藤さん。」


佐藤はその言葉を聞いてさらに心が温かくなった。中村の楽しそうな顔が、自分にとっても良い思い出となっていくのを感じた。自然の中でリラックスしている彼女の姿を見ると、普段の仕事のストレスもどこかへ消えてしまうようだった。

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