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明影  作者: kazoo
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(18)

中村が担当する新たな案件。クライアントの要望が急遽変更になり、問題を解決するために佐藤も同行することになった。クレスト・テクノロジーズのオフィスを早朝に出発し、佐藤と中村はクライアントのオフィスへと向かった。二人が向かったのは、長年にわたって取引のある信頼できるクライアントだった。佐藤も担当者とは顔なじみで、打ち合わせの場は和やかな雰囲気に包まれていた。


会議室での打ち合わせは順調に進み、佐藤は中村の進行に目を細めた。彼女の落ち着いた対応と迅速な判断力は、クライアントの期待を超えていた。問題点が整理され、新たな提案に向けた具体的な計画も見えてきた。クライアントの担当者も満足そうにうなずき、佐藤と中村に感謝の言葉を述べた。


打ち合わせを終え、二人がクライアントの会議室を出ようとしたその時だった。廊下で他の会社の担当者と鉢合わせした。佐藤の視線がその人影に向かい、ふと動きを止めた。


そこには、リーの姿があった。


心臓が一瞬止まるような感覚が佐藤を襲った。以前の記憶が一瞬で蘇り、あの日のことが頭をよぎる。だが、表情を崩さず、冷静さを保つことを心がけた。


クライアントの担当者がその場の空気を和らげるように笑顔を浮かべ、佐藤に紹介を始めた。「こちらは、シンクラ社のリーさんです。最近、我が社のいくつかの案件でお世話になっておりまして、今後も一緒に仕事をすることがあるかもしれません。」


リーは微笑みを浮かべ、軽く頭を下げた。佐藤も同じように頭を下げ、目の前にいる女性が、以前出会ったリーであることを確認した。その目の奥にはかすかな驚きと警戒が見えたが、彼女のプロフェッショナルな態度は一切崩れなかった。


「シンクラ社のリーです。よろしくお願いします。」


佐藤は一瞬だけ言葉に詰まりながらも、すぐに笑顔を作り直した。「クレスト・テクノロジーズの佐藤です。こちらこそよろしくお願いします。」冷静さを保ちながらも、心の中では複雑な感情が渦巻いていた。


一方、中村はそのやり取りを無言で見守っていた。彼女の目が、佐藤とリーの間に漂う微妙な空気を敏感に察知していた。だが、その場で何かを言うことはなく、ただ静かに見つめていた。

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